「自分が楽しむ」ではなく「人を楽しませる」

デキる男は、仲間同士や女の子と会話を楽しむだけではなく、店の裏方の男性スタッフにまで「元気でやってる?」と言葉をかけ、ときには手土産に寿司折りを持ってくるといった気遣いを見せる。「お客様に気を使わせるなんてもってのほかですが」と前置きしながらも、そこに器量の違いが出ると話すのは、2年前に「バブル後、最短&最年少ママ誕生」と銀座雀の耳目を集めたクラブ「城」の桃谷優希ママだ。

桃谷優希ママ●「城」オーナーママ。京都ノートルダム女子大学卒業後、北新地のクラブへ。その後、銀座に移籍。26歳でクラブママに就任。27歳で独立。

「伸びる人は女の子の好き嫌いを言わず、どの子にも優しく、分けへだてなく接してくれます。ご接待のときにヘルプでつく子たちが一所懸命盛り上げてサービスをしてくれたほうが、ご自分の仕事の助けになることがわかっているからでしょう。大事なお客様にかわりはないのですが、いつも横柄な態度を取られていると、ホステスも人間なので本来の接待がやりづらいのも確かです」

もちろん差別はしないが、気持ちのうえで、つい、区別をしてしまうことがあるという。

明美ママは、「部下やホステス、スタッフといった立場の弱い者に厳しく接する人は、『仕事ができて出世しそうだな』とこちらが思っていても、いずれ落ちてしまう残念な人が多い気がします」と語り、こう続ける。

「接待の場で威張っていても、偉い人とはち合わせすると平身低頭し、人を見て態度を変える姿は、はたから『裏表があって、調子がいい人だ』とすぐに見透かされます。酒席では、人間性が垣間見えるものです」

優希ママも「そういう人は一度上にいっても、周りが付いてこないので、結局はダメになる印象がある」と指摘する。

伸びていく男は全員が楽しめるように、部下にも気配りを欠かさない。

「デキる上司が部下を連れてくるときは『お疲れさま。今日は遠慮なく飲んでくれ』と部下を接待しているのかと思えるくらい上司という顔をしないし、威張りません。気を使って遠慮する部下がいると『ちゃんと楽しんでくれよ、高いんだからな』と冗談まじりに言って、場を盛り上げるために一所懸命です。そして場が盛り上がってきたなと思われたら、『あとは頼んだね』と言って、部下を残してスッと帰られます」(優希ママ)

部下を抑えつけず、いいところを引き出そうと日頃から努めているのがわかるのだという。そういう人は店への目配りも万全だ。

「お店がすいていて盛り上がりに欠けるときに、『今日は俺のために貸しきりか』と言って喜んでくださる。そして『暇だから、今日はパーッといこうか』とシャンパンを開けてくださるようなお客様には、店中みんな、素敵と思わされます」(優希ママ)