外国人実習制度は現代の奴隷制度か

1993年スタートの外国人技能実習制度。外国の若者に技能を修得させて母国の発展に活かしてもらうことを目的に始まったが、いまでは人手不足の業界を支える切り札として活用されている。

「外国人を低賃金でこき使う現代の奴隷制度」と批判されることも多いが、実は日本人を雇うより高くつくことがある。実習生は労働基準関連法令の適用を受けるため、賃金は最低賃金以上。実習生の監理団体にも監理費を支払う必要がある。企業は高コストになりかねない実習生をなぜ雇うのか。山脇康嗣弁護士はこう解説する。

「簡単に辞められないからです。実習生は特段の事情がないかぎり、自己都合で他の受け入れ企業に移ることができません。実習期間は、現行法で最長3年。離職率の高い業界において長く働いてもらえることは大きなメリットです」

じつは転職の自由がないことが、“ブラック実習”がはびこる一因になっている。受け入れ企業が制度を正しく利用していれば、実習生には最低限の待遇が保障されるはずだが、労働市場から淘汰されることがないため、賃金不払いや長時間労働、不当な経費天引きといった違法行為が横行。現代の奴隷制度という批判は、あながち間違いではない。

人手不足の業界に門戸を開放!

この状態を国も放置するつもりはない。今年11月1日から外国人技能実習法を施行して、管理強化する。

「これまで技能実習制度は入管法で規制されていました。しかし入管法では、違反者の新規入国を認めないといった間接的な規制しかできなかった。そこで新法をつくって直接的な規制をすることになりました」(山脇弁護士)