最大の問題は「ヒマすぎる」こと

厚生労働省が発表している平均余命は、60歳の男性が22.84歳。ということは、60歳で定年を迎えた後も、20年以上に渡る長い人生が待ち受けていることになります。しかし、「その“セカンドライフ”で直面する大きな問題が、孤独にほかありません」と指摘するのが、ベストセラー『定年後』の著者の楠木新さんです。

プレジデント 2017年11月13日号発売中!特集は「金持ち老後、ビンボー老後2018」です

30年以上に渡るサラリーマン時代の苦労から解放され、自由を満喫できるのもリタイアしてからせいぜい半年ほど。やがて大半の人がヒマを持て余し、どこにも自分の居場所がないことに焦燥感を抱くようになります。

そんな定年後の60~74歳までの15年間を、楠木さんは「人生の黄金期間」と呼び、1日当たり11時間・合計6万時間に及ぶ自由時間の活用策として、自営や起業をすすめます。

「とにかくお金をかけない」

そこでプレジデント10月23日発売号の特集「金持ち老後、ビンボー老後」のなかで、現役時代から定年後を見越して独立の準備を始めた8人のシニア自営業者への取材を含めた「有望な仕事、商売の始め方……50代からでもOK『儲かる自営業』入門」のコーナーを設けました。

実際に話を聞いてみると、「なるほど」と思えることばかりです。その筆頭に挙げられるのが、「とにかくお金をかけない」ということ。コンサルタントや営業など机一つで済んでしまう場合、基本的に自宅で開業というケースがほとんどでした。打ち合わせスペースが必要だったりしても、シェアオフィスを借りて済ませています。

今年2月まで東証1部上場のヤマダ・エスバイエルホームの社長を務め、5月にシニアを対象にしたライフプランニングや住まいに関するサービスを展開する「J-ライフホーム」を1人で設立した長野純一さんは、東京・丸の内にあるシェアオフィスを選択。元上場会社の経営者なら豪華なオフィスを構えてもと思うのですが、「見栄をはっても売り上げにはならず、余分なところで固定費をかけたくありませんでした」と長野さんはいいます。