勉強を楽しいものに変えるにはどうすればいいか。いま「ゲーミフィケーション」という仕組みが注目されている。クイズやくじ引き、経験値といったゲームの要素を取り入れることで、学習効果を高めるものだ。その可能性について、第一人者である東京大学の藤本徹特任講師に、イーオンの三宅義和社長が聞いた――(全2回)。

ゲーム感覚を取り入れた英語学習

【三宅義和・イーオン社長】イーオンでは、今年7月から「英語でおもてなしガイド」というアプリの提供を始めました。これはバーチャルリアリティ(VR)を活用した英会話学習アプリで、専用ゴーグルを着けると、外国人観光客などのキャラクターが現れ、会話が楽しめます。このアプリにゲームの仕組みを取り入れるため、今回のゲストである藤本徹先生に監修をお願いしました。藤本先生はゲーミフィケーション分野の第一人者で、記者発表会でもご登壇いただきました。その節は、ありがとうございました。

【藤本徹・東京大学 大学総合教育研究センター特任講師】こちらこそ、とても勉強になりました。それにしても、多くのメディアが集まり盛況でしたね。それなりの反応はあると思っていました。というのも、最近、VRがブームとなっていて、あちこちでアトラクションが開設されています。それだけにVRを打ち出すと注目されるわけですが、予想以上でした。

藤本徹・東京大学 大学総合教育研究センター特任講師

【三宅】なぜ、このアプリが注目されたとお考えですか。

【藤本】2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあり、外国人旅行者も急増していて、タイミング的に盛り上がっている時期だったということが1つ。加えて、こういう新しいテクノロジーを使った教育というのは、いつも注目されます。スマホが使われ出したときもそうでした。その前はマルチメディア教育だったと思いますが、英会話学校のイーオンさんが、本格的にそこに乗り出したということが大きかったのでしょう。英会話教育の実績とVRをうまく組み合わせて、ゲーム感覚を取り入れたというところに注目が集まったのではないかと思っています。

【三宅】確かにこれまでの会話練習では、「あなたはAさん、私はBさんという形で、このテーマで会話しましょう」と言っても、現実感は薄かったかもしれません。ところが、VRだと臨場感にあふれたものになる。別の言い方をすれば、没入感のある中で練習できるというところがおもしろいですよね。

【藤本】従来だと、ある程度は学習者のイマジネーションに頼っているところがあったと思います。それをビジュアルに可視化して、ボランティアガイドの現場を再現するとか、外国人観光客が東京の街中で行動しているという設定は、とても興味のある要素になっているのではないかと思います。