ドラマチックな再編構想
安倍政権を追撃する態勢を整えるはずだった民進党は前原誠司氏が新代表に収まったまではよかったが、幹事長に内定した山尾志桜里氏の不倫疑惑で、国民に信頼を得る最後のチャンスを失ってしまったかのようだ。これで安倍政権は再び安定感を取り戻し、9月中に衆院解散、10月に総選挙へ打って出るという見方が強まっている。
だが、ことしの春から夏にかけて非自民サイドでドラマチックな再編構想があったことは、あまり知られていない。小池百合子都知事と野田聖子氏がタッグを組んで新党を結成するという構想。その絵を描いたのが細川護熙元首相だ。この構想は残念ながら頓挫してしまったが、「安倍1強」に違和感を持ち始めた国民にとって、「小池、野田新党」は相応の支持を集めたのではないだろうか。
1人の殿と2人の姫
8月13日、長野県・軽井沢のレストランに、不思議な顔触れがそろった。細川氏。野田氏の妹の島桜子氏。民進党の木内孝胤衆院議員(この5日後に離党届提出)、そして田中角栄元首相の孫、真紀子元外相の長男である雄一郎氏。
彼らの関連性を見いだすのは難しいが、関係者の話を総合すると、この会合は細川氏が野党再編に向けてセットしたものだった。
細川氏と小池氏は日本新党の発足時からの師弟関係だ。師弟関係というよりは、90年代前半には「殿」と「姫」の関係といわれることが多かった。小池氏が自民党に転身したことで、やや疎遠になったが、今も連携は取り合う。特に昨年、小池氏が都知事になって以来、さかんにアドバイスを送る。細川氏は2014年、細川氏は老骨にむちを打って東京都知事選に出馬。舛添要一氏に敗れはしたが、東京都への思いは強い。今も「小池新党」にあたっては、国家理念を明らかにするようにと助言している。
細川氏は「小池新党」に期待するが、小池氏は2020年の東京五輪までは都知事を務めると見通している。小池氏は新党の対応は若狭勝衆院議員に委ねているが、細川氏は「党の顔が若狭氏では弱い」と考えている。で、ひそかに白羽の矢を立てたのが野田氏だった。