これから日本には誰も経験したことがない「超高齢化」が訪れる。そのときどんな変化が起きるのか。歴史を振り返りながら、「衰退期」に向けた家計の備え方を解説する。第2回は「税金」。いまの日本は、現在の高齢者のために、将来の日本人へ「ツケ回し」をする構造になっている。「ツケ」を支払うときが、刻々と迫っている――(全6回)。

「担税力」にかかわらずサービス提供できるか

年金に代表される「社会保障」の負担は、国の財政を圧迫している。現状把握のため、内閣府は「税・社会保障等を通じた受益と負担について」という試算を経済財政諮問会議に提出している。図はその抜粋だ。棒グラフのなかほどにある数字は、年金や教育など各種サービスによる「受益」と、税負担や保険料などの「負担」を合算した金額である。

たとえば世帯年収が約755万円、世帯主が40代男性で共働き、子どもなしの場合、約135万円の負担超過。60代男性で妻と2人、子どもなしの場合、約196万円の受益超過となっている。前者の共働き世帯の税負担だけでは、後者の年金世帯を支えられないことになる。

ブロガーの山本一郎氏が解説する。

「内閣府の試算をもとに計算すると、世帯の総収入が890万~920万円を超えるまでは『受益超過』となります。所得がそれ以下の世帯はいわば『社会のお荷物』です。表現は過激かもしれませんが、これは日本社会の素晴らしさでもあります。なぜなら所得が低く『担税力』のない人にも、市民サービスを平等に提供するという合意の表れだからです。ただし、そうした美しき日本社会は、近い将来、経済・財政的に破綻する恐れがあります」