がんは早期発見、早期治療が一番。そう考える向きは多いだろう。だが、場合によっては「早期発見」が仇になることもあるという。国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部長の斎藤博氏が指摘する。

さらに言えば、たとえ発見率が高い検診法であっても、がんの種類によっては無駄な治療を招くおそれがあり、そうなれば患者は治療に伴う不利益を被らなくてはならない。私たちは「精度の高い診断検査=いい検診法ではない」ことを理解したうえで、がん検診の行列に並ばなければならないのだ。「一般の方はつい、発見率が高いがん検診ほど効果が大きいと考えてしまいがちですが、それは正しくありません。なぜなら、がん検診の目的はあくまでも対象者のがん死亡率を下げること、つまり、がんで亡くなる危険を減らすことです。しかし、検査の精度が高く発見率が高くても、必ずしも死亡率が下げられるわけではないのです」