お客様には何を言われても反撃できないのか

上司と部下、クライアントと営業、発注側と請負側。ビジネスの場においては、目に見えないパワーバランスが発生します。そのパワーバランスを悪用し、相手をおとしめて、自分が優位になるように持っていこうとする不届き者がいるのも事実です。

以下は、クライアントの社長に悩まされている女性営業の話です。

――よし、商談成立まで、あともう少し!――

そう思ったからこそ、私は社長のセクハラ発言に耐えてきたのに……。

先方のオフィスに出向くたび、社長は私に向かって、「胸が大きい」とか「お尻が大きい」など、私の体形をからかうようなことばかり言ってきた。そのたびにイヤな気持ちになったけれど、社長はかなりのご高齢だし、行きすぎた冗談だと思って、笑ってごまかしてきたのだ。

それなのに社長は、最後の最後に値引きを要求し、やんわりと断った私に対してこう言い放った。

「まったく女は、融通が利かないな。どうせ男に媚びを売って営業しているくせに」

内心怒りで震えていた私を一瞥したのち、社長はさらに言葉を継いだ。

「まあ、社としてのサービスが無理ってことなら、キミのサービスがあればそれでよしとしてもいいよ。今度ゆっくりと飲みにでも行こうや」

怒りを笑顔で無理やり包み込みながら、私は思った。

どうして私ばかり、こんな目にあわなければならないんだろう?