きらびやかな銀座の街で、毎夜、一流の男を相手にしているクラブのママ。なかでも彼女たちの心をキュンとさせた経営者の言葉とは、どんなものか。

デリカシーのある男が出世する

昔から政財界の大物や文化人たちが夜な夜な集まりグラスを傾け、議論を交わす。ここで飲むようになれば“一流の男”と太鼓判を押される銀座の高級クラブ。男の品定めのプロであるホステスたちと時を過ごすことによって、自らも磨かれていくという。数多の男たちの浮き沈みをみてきた超一流クラブのママたちが指摘する伸びる男の一番の特徴は、いつも「人」に囲まれていて、それだけの人望があることだ。

「胆力に優れていて、部下から『この人のためならひと肌脱ごう』と慕われていること」(伊藤由美ママ)は、成功する人の共通点だという。「とにかくコミュニケーション能力が高く、好き嫌いを言わずに、どの女の子にも気持ちよく接してくれる」(白坂亜紀ママ)、「遊び上手でお酒の飲み方がきれいで、店が混んでくれば、さっと帰られる気配りができる」(日高利美ママ)ことも大きな特徴だ。

「人を大事にし、人に好かれる」人間としてのデリカシーを持った男には、情報や人脈が引き寄せられるものだという。それをうまく味方に付けた男が出世する。その成功者である経営者の振る舞いや言葉のどこが、一流ママたちの琴線に触れるのだろうか。

◇由美ママの忘れられない「ひと言」

▼高田 明・ジャパネットたかた前代表取締役社長
「テレビで商品を売るときは、女性に自分の思いを伝えるときと同じ。声に熱意が入り『皆さん、こんにちは』って、高いトーンで話しかけるんです」
テレビショッピングの声は高いですが、普段の声はそれほどではありません。「何事も熱意」の高田さんらしいですね。東日本大震災の義援金として5億円を寄付されましたが「大きな声で人に言うことではありません。通信販売を始めた当時から東北地方の方々に支えられ、今の自分があるという思いで支援させていただきました」と。会社が大きくなられても、故郷の長崎への思いは強く、人との縁を大切にされています。杉本彩さんと私が取り組んでいる動物愛護活動もご支援してくださっています。
▼熊倉貞武・メディパルホールディングス代表取締役会長
「自分では後継者の育成を実践したことはありません。社長の座を譲るとなったときに、一番旬の人を選べばいい」
医薬品卸最大手のメディパルホールディングス会長のお言葉です。人は常に変わるから、そのとき一番力があって輝くオーラがある人を据えるのが一番だというのです。努力をしているからこそ千載一遇の機会に巡りあえるし、そのときに、自分からチャンスをつかまえられるのも実力のうちと考えていらっしゃる。クラブでもてる方は、相手がどんな人であっても、その存在を認められる人です。相手のやっていることに理解と尊重を示すことで、心と心が響き合えます。熊倉会長は太陽みたいに明るいオーラで、周りを輝かせ、なごませてくださいます。
▼某家具販売会社創業者
「自分の歌を聴いてください」
有名な家具販売会社の創業社長で、ご自身の歌もカラオケに入っています。その曲を歌われるときには、茶目っ気たっぷりに、歌い始めるんです。猛烈経営者のイメージが強い方ですが、気遣いされて、とてもかわいらしい。日経新聞の「私の履歴書」では、社長らしさを発揮され、ほかの人が書かないようなハチャメチャぶりを描いて話題沸騰となりましたが、勝負どころでは勝負をかける、やんちゃな勝負師的な男らしさが魅力的です。