高身長の人ほど「大腸がん」になりやすい

性格とは無関係である一方で、がんが体形と関係することはわかっている。世界がん研究基金の報告書によると、「身長の高さ」によって、大腸がん、閉経後の乳がんはリスクが「確実」に高くなり、膵臓がん、閉経前の乳がん、卵巣がんはハイリスクの「可能性が高い」と分析されている。

高身長とがんの影響では、現在、成長ホルモンの働きに注目が集まっている。成長ホルモンには発達を促進するだけでなく、細胞の「アポトーシス」を阻害する働きもある。アポトーシスとは「細胞が自ら消滅する」ことを意味する言葉で、がん細胞の始まりとなる細胞の多くはアポトーシスされるので、人はがんにならない(それを逃れたら、がん細胞となっていく)。成長ホルモンが多く分泌される人は、アポトーシスが阻害されるため、がん細胞が増殖しやすい、と考えられている。

興味深いことにこの現象を逆さまに証明している人々がいる。低身長で知られる「ラロン症候群」の人々である。彼らは遺伝子異常で成長ホルモンの分泌が少ないため、成人しても身長が120センチ程度までしか伸びない。その一方で、がんになる人が極端に少なく、糖尿病になる人もほとんどいない。

身長が低くなる「ラロン症候群」の患者は、成長ホルモンの分泌が阻害され、がんや糖尿病になりづらい。(写真=時事通信フォト)

身長以上に病気との関係をよく指摘される体形は、肥満である。肥満の人は、がん、心筋梗塞、糖尿病にかかるリスクが高いことは周知の通りである。しかし誤解されがちなのは、「やせすぎ」も問題が多いことだ。むしろ標準よりも若干肥満のほうが死亡リスクは低くなることがわかっている。