長生きするのは「ちょいデブ」

国立がん研究センターが35万人以上のデータを定量評価したところ、男性の死亡リスクではBMIが25~27のカテゴリーで最低だった。BMIとは肥満度を表す体格指数で、「体重(kg)÷身長(メートル)の2乗」で計算する。日本肥満学会では「22」を標準としており、25以上を「肥満」と定義している。この研究結果によれば、男女ともに死亡リスクが有意に高くなったのは、「肥満」よりも「やせ」で、全体の傾向としては「逆J型」だった。

BMIが「22」の標準体重とは、身長170センチなら約64kgという計算になる。死亡リスクが最も低い「25~27」では、同じ170センチで体重が72~79kgであるから、標準よりも10kg以上も太った「ちょいデブ」のほうが、長生きという観点では望ましいといえる。

多くの日本人が「ダイエット」に励んでいるようだが、健康のことを考えれば、「太りすぎ」と同様に「やせすぎ」にも注意が必要だ。

東北大学大学院 医学系研究科 教授 辻 一郎
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野教授。1957年、北海道生まれ。83年東北大学医学部卒業。2002年より現職。著書に『健康長寿社会を実現する』(大修館書店)、『病気になりやすい「性格」』(朝日新書)などがある。
(構成=山田清機 写真=時事通信フォト)
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