三菱重工、日立、東芝、それぞれの難題

三菱重工の宮永俊一社長は「アレバとの緊密な関係維持」を大義名分に社内の反対を押し切ったとみられる。確かに、両社の協業関係は、ベトナム政府が11月に白紙撤回したとはいえ、共同開発した新型炉で同国での原発受注をほぼ手中に収めるなど密接だ。海外事業を加速するうえで手を切るわけにはいかないとの判断が働いたことも容易に想像がつく。

英原発建設に向けた日立、東芝に対する政府支援は、原発輸出を成長戦略に据える安倍政権による頓挫したベトナムの轍は踏まないとの強い意思表示に映る。同時に、英国で原発建設を受注した中国への警戒感も透けてみえ、新興国を中心に海外で中国勢と激しい受注合戦を繰り広げる日本勢には後ろ盾になる。

一方、東芝の米原発事業で発生する巨額損失は、原子力事業に決定的な打撃になりかねない。会計不祥事後、半導体事業と並び経営の柱に位置付けた原子力事業、しかも中核となる米子会社ウエスチングハウス(WH)による企業買収で生じる損失だけに、同事業にとどまらず、再出発途上の東芝に再び暗雲が立ち込める。

このほか、3社の海外事業は、受注にこぎ着けたトルコ、インド、リトアニアなどで相次ぎ暗礁に乗り上げている。こうした内憂外患の逆風下で浮上した打開策が、原発で使用する燃料事業での統合構想だ。既に3社は交渉に入り、今年春の統合を目指す方向とされる。しかし、それは単なる延命策に過ぎない。経済産業省などはその先に原子力事業全体の統合も視野に入れているとの観測もある。

ただ、ここに行き着くまでには3社それぞれが海外企業をパートナーに受注競争を繰り広げ、得意な原子炉形式も異なる事情もあり、二の足を踏む。原子力ビジネスは少なくとも計画から20年、30年先を見据えた超長期型であり、それに応じた経営判断が求められる。しかし、再建の危機に見舞われかねない東芝を挙げるまでもなく、3社は国内外で激変する事業環境に耐え、座して待てるだけの体力を維持できるか――。事業存続の岐路のなかで大きな決断を迫られている。