算数アレルギーの編集者が「円周率3.14」の意味を初めて知った!
算数が苦手だ。自慢じゃないけど、高校では数学で8点を取ったことがある。10点満点なのかと思ったが、違っていた。補習を受けても、何をやっているのかよくわからなかった。
自分には向いていないので、文系学部へ進み、文系の仕事を得た。よし、これで一生、算数・数学とは無関係に生きられると思ったのに、何の因果か、プレジデントFamily編集部では「算数特集」をするという(これが毎回好評なのだ)。いやだな、いやだな。私にできるんだろうか? 苦手意識を持ちながらも何回か特集記事を編集して、驚いた。
おもしろいのだ。
名教師ばかり取材しているからだと思うが、とにかく、説明がわかりやすくて、おもしろい。名教師の説明は、100点満点で8点しかとれない私にもよくわかった。
たとえば、円周率。恐る恐る、ある教師にこう聞いてみた。
「あのー、そもそもなんですが、なんで円周は、直径に3.14をかけるのですか?」
するとその教師は、厚紙を直径2cmの円形にくりぬいて、直線上で一回転させた。その長さを測ると6.28cmになる。同様に直径3cmなら9.42cm、4cmなら12.56cm……。つまり、どれも必ず直径の3.14倍になっている! まるで魔法みたいに、円周率3.14の意味を目の前で見せてくれたのだ。
覚えるだけでは無味乾燥にしか思えない公式は、理由を体験するとワクワクする魔法の呪文のように思える。円周は、どんなに大きな円でも、必ず直径×3.14になっている。この世界には、まるで神様が決めたとしか思えないような、目に見えない法則があるのだ。
こういった体験をすると、算数のことが好きになる。日本数学教育学会が行っている「算数についての児童・保護者・教師の意識」調査によると、1998年のゆとり教育導入以降、算数が好きという子の割合が右肩上がりで増えている。これは具体的な物を扱ったりしながら、時間をかけて算数を体験できるカリキュラムが増えたからだ。算数については、ゆとり教育は成果があったのだ。