店舗刷新に取り組んだ第1号店が完成
マツダは、東京都新宿区にある高田馬場店をスクラップアンドビルドによって全面的に生まれ変わらせ、同社の国内販売における最新鋭の“旗艦店”として去る11月5日より営業を開始した。そこで革新的な販売手法の開発を目ざしているようだ。
マツダは2012年2月に発売したCX-5を皮切りに、いわゆる“新世代商品”(同社の表現による)を順次市場に投入してきた。幸い、その独自のスカイアクティブ技術やデザインなどが広く受け入れられ、同社の乗用車に対する一般の受け止め方もよりよい方向に向かっている。
とはいえ、そうしたイメージをより一層強め、消費者に対する魅力を発信するためには、彼らとの接点である販売の現場も製品と同様、“新世代”に生まれ変わらせる必要があるはずだ。古代からの格言にもある、「新しいぶどう酒は新しい革袋に入れるべし」。
この発想のもと、マツダはこの数年間とくに、スカイアクティブ搭載車にふさわしい“革袋"の創出に腐心してきた。この動きは販売部門だけのものという位置づけではなく、「新世代店舗」を広く展開するという全社をあげたプロジェクトとして推進されている。特筆すべきなのは、その店舗デザインの案出に同社のデザイン本部が直接関わっていることだろう。つまり新世代の製品をデザインした張本人がそれを販売する“新世代の店舗”のデザインに関わるというわけだ。というのも、この背景には同社のデザインを統括する常務執行役員・前田育男の次のような考えがあるからだ。
「われわれの製品は“作品”であり、だからこそ、それが本当に美しく見える“場”に置いて、お客様にお見せしなければならない」
実は、同社既存店舗を新世代店舗に改装する試みを続けてきた。今回の高田馬場店はその動きの一環だ。しかしこの店舗こそ、マツダがいわばフルスイングで販売店の刷新に取り組んだ“第1号店”といってもよいかもしれない。それほど全く新しい発想のもとにつくられている。