パラサイト・シングルの子に介護される親が増加中

「パラサイト・シングルの増加が社会問題として取り上げられるようになってずいぶん経ちますが、介護現場で仕事をしていると、そういう人たちが親の介護をする年齢を迎えていることを実感します」

そう語るのはケアマネージャーのIさんです。在宅介護のサービスを利用する家族にパラサイト・シングルの人が目立つようになったそうなのです。

パラサイト・シングルとは、親と同居する未婚者のこと。

通常、結婚すれば家庭生活を維持するために金銭的負担をはじめとするさまざまな苦労を背負い込むことになります。しかし、結婚せず親との同居を続ければ、そうした苦労を味わうこともなく、働いて稼いだお金のほとんどは自分のために使える。その方が気楽だという人たちです。

また、バブル崩壊後、長く続いた不況期は大量の非正規雇用者を生み出しました。賃金が安く、立場の安定しない非正規雇用では「とても結婚なんかできない」ということでパラサイト・シングルの道を選ばざるを得なかった人も数多くいます。

パラサイト・シングルのくくりには、こうした仕事をしている人とは別に、職に就かず生活のすべてを親に依存している、いわゆるニートも含まれます。学校でいじめに遭ったことがきっかけで引きこもりになり、それが大人になっても続いている、あるいは就職したものの会社の人間関係や仕事に馴染めず退職、心を病んで社会に出られなくなった、といった事情があり親元で暮らしている人たちです。

非正規雇用のため結婚を諦めた人たちと同様、社会の歪みから生み出されたパラサイト・シングルがかなりの数にのぼるわけです。

総務省ではパラサイト・シングルの統計を取っていて、たとえば35~44歳の「親と同居の壮年未婚者」は300万人超。この働き盛りの年齢層の16.7%(2014年)に当たり、現在も増え続けているそうです。国はこの年齢層を「壮年」とし、パラサイト・シングルの増加を課題としてとらえているわけですが、言うまでもなく、もっと高齢のパラサイト・シングルもいます。そうした人たちが今、親が要介護になる年齢を迎え始めたとIさんはいうのです。