パクリ国家の核兵器開発は侮れない

9月9日、北朝鮮が「核弾頭の爆発実験に成功した」と発表した。同日、午前9時半頃に日本の気象庁は北朝鮮北部を震源とする地震波を観測している。マグニチュード5.3で震源の深さは0キロメートル。自然の地震波とは異なる波形だったというから、おそらく地下核実験だったのだろう。北朝鮮の核実験はこれで5回目。今年に入って1月6日に「水爆」と称する核実験を強行して以来2度目だ。一方で核弾道ミサイルの発射実験も繰り返している。

2つの実験が意味する北朝鮮の狙いは明確で、弾道ミサイルに搭載する核弾頭の小型化である。そこにまた一歩近づいたということだろう。

北朝鮮の核開発についてはウクライナが技術供与しているという情報もある。旧ソ連邦で核開発の中核地の一つがウクライナだった。今のウクライナは核開発を放棄しているから人材が余っているはずで、そういう人間が北朝鮮の核開発に関わっているというのだ。一方、弾道ミサイルの開発は中国およびロシアのロケット技術が使われている。パクリ国家の北朝鮮らしいが、それだけに開発レベルと開発スピードは侮れない。

また6カ国協議の合意を受けて北朝鮮の原子炉は2007年から運転を停止している。もともとアメリカの学者などからは、北朝鮮が保有しているウラン235とプルトニウムで核実験をするのは4~5発が限度と指摘されていた。としたら今回の核実験で打ち止めの可能性もあるのだが……。

北朝鮮は原子炉の再稼働を表明していて、再稼働に向けた動きも確認されている。しかし、プルトニウムをつくり出すまでには数年かかる。またウラン型原爆をつくるにはウラン235を濃縮する技術が必要だが、ガス拡散法などは非常に難しく、おそらく北朝鮮はやっていないだろう。あるいは原子力潜水艦などロシアが廃棄した核兵器から核が取り出されて、闇ルートに流れている可能性もある。当然、北朝鮮はそうしたルートも研究しているだろう。

我々のような専門家から見れば、北朝鮮の核開発は決して非常識なものではなく、常識的な開発ステップを踏んでいる。核弾頭を小型化してミサイルに積むにはまだ何回か実験が必要だろうし、核弾頭をミサイルで飛ばせるようになっても、適時に起爆する技術がこれまた難しい。

実用化の一歩手前くらいまできているから、もう止まらない。核実験にしてもミサイル発射実験にしても、まだやりそうな気配である。