注目ベンチャー企業の社長から伝説の営業マン、最年少開発責任者、外資系企業の社長まで、彼らのキャリアを好転させた渾身の資料を大公開。
息を吹き返した伊藤忠からの出資
ミドリムシで注目されるユーグレナの時価総額は約1400億円。しかし、創業から3年経った2008年、倒産の危機に立たされていた。
当時、出雲充社長は出資者や提携先を探し、奔走していた。事業計画書を携え、企業を訪問するものの袖にされ、その数は500社に上った。
東京大学3年のとき、「世界から栄養失調をなくす」大きな可能性を持つミドリムシと出合った。いったんは東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に就職するも、わずか1年で退職。ミドリムシで事業を成功させると夢にかけてきた。しかし、その夢が潰えようとしていた。
そうして501社目に訪問したのが伊藤忠商事だった。そこで出資と提携が決まり、ユーグレナは息を吹き返すことになる。
「最初に持っていった企画書は、それまでのものから特に内容を変えたというわけではありません。そのときに、先方が『まだ取引先がないのは自分たちにはチャンスだ』と言ってくれたのが大きかった。今から振り返ると、2回目に持っていった資料が重要だったと思います」
出雲氏は資料を作る際、相手の性格や、重視する点に合わせることを心がけていたという。
たとえば、企画を審査する相手が数字にうるさい人であれば、数字を正確に説明することが求められる。その場合、エクセルで将来の売り上げ、利益、経費などをシミュレーションし、データを中心に訴えた。
一方、相手が情熱を大事にする人だったら、ビジュアルを中心とした資料で事業にかける熱意を見せる。最初の提携を決めてくれた伊藤忠の取締役がそんなタイプだった。
「ベンチャー企業の経営計画とか、そんな計数を見たってしょうがない。ベンチャー企業なんて来年なくなっているほうがふつう(笑)。それよりも、なんでミドリムシをやりたいのかを説明してほしいと言われました」
取締役向けの説明資料は写真で埋め、ミドリムシにかけるパッションを示した。プレゼン後、「ぜひ一緒にやりましょう」と一言。出資が決まった。