なぜ人を9タイプに分けるとうまくいくのか

3年前に出版した『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は、120万部を超えるベストセラーになりました。昨年には映画化もされたことで、私は全国で講演をする機会が増え、これまでに延べ13万人もの参加者を数えています。そして、講演の最後には必ず質疑応答があります。

驚いたことに、そこで出る親御さんや企業の管理職の質問が、私がいままで塾の面談室で受けていたものとまったく同じ。皆さん「うちの子はゲームばかりで、全然勉強してくれない」とか「息子(あるいは部下)をヤル気にさせるにはどうしたらいいか?」と質問してきます。そのことから、個別に相談していた問題が日本のどこでも起こっていることを実感したのです。

それなら、私が伝えたいことを、みんなが読めるようにすればいいと考えたのが、この『人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書』を執筆した理由です。坪田塾には、これまでたくさんの子どもをあずかり、約1300人の生徒たちを短期間で劇的に伸ばした実績があります。そのノウハウを軸に、僕が学生時代から長年学び続けてきた心理学を応用して、子どもと自分自身の伸ばし方を紹介しました。

この本ではまず、人間を以下の9つのタイプに分類。次に、子どもや仲間、部下などがどのタイプであるかを知り、それぞれのタイプに合わせた接し方を学び、実践するのです。その結果、子どもの学力や部下の業務能力は間違いなく伸びます。

▼9タイプ別の特徴
【1】完璧主義者タイプ
何事にも「こうあるべき」という理想を抱き、完璧にそれを達成しようとする人です。目的を達成すべく、細かいところまでしっかりツメながら作業を進められます。
【2】献身家(人に尽くす)タイプ
「人のためになるなら」という思いで行動するのが好きな人です。思いやりに対して感謝されると、とてもテンションが上がります。
【3】達成者(上昇志向)タイプ
競争心が強く、上昇志向を強く持って、目標へ向かってがんばることが得意な人です。負荷がかかるようなチャレンジに心が燃えますが、がんばりすぎて、ムリをしすぎることも。
【4】芸術家タイプ
ロマンチストで、自分の感受性をとても大事にする人です。人とは異なった価値観に誇りを持っています。
【5】研究者タイプ
他人からの干渉を受けずに一人でこつこつと好きな分野を極めたい職人気質、オタク気質がある人です。好奇心旺盛で、気に入った1つのことをひたすら極められる人です。
【6】堅実家タイプ
コツコツとした作業を積み重ねるのが得意な、穏やかな性格の人です。心理状態が比較的安定していて、慎重です。予定通り物事が進むのを好みます。
【7】楽天家タイプ
とにかく明るく、楽しいことが好きな人です。旺盛な好奇心に実行力が伴っています。ただし、長時間集中するのは苦手で、つめが甘く、飽きっぽいところもあります。
【8】統率者(カリスマ)タイプ
強い意志と決断力を持った、人から頼られたいリーダー気質の人です。頼られたり相談されたりすると、人一倍、相手を支援しようとします。
【9】調停者(協調性重視)タイプ
平和と調和が好きな、ゆったりマイペースな人です。協調性が高く、周囲と仲良くやっていくことに心をくだいています。いっぽう、競争心や目的達成への意識には欠ける面があります。
※各タイプの「“やる気にさせるヒント」は本文末に!
※『人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書』より抜粋。

こうした分類には、いろいろなものがあります。ドイツの心理学者・クレッチマーは肥満型・痩せ型・筋肉質片の3タイプに分けました。肥満型は善良だが、落ち着きがないそうです。あるいは、勤勉性や協調性といったキーワードで5つに分ける「ビッグファイブ理論」もあります。それぞれがすぐれているのですが、私は自己分析の手法である「エニアグラム理論」の9分類に、自分の指導経験から見出したそれぞれの特性を加味して理論化しました。

よく「教育の目的は?」と聞かれて、私が挙げる3つの項目があります。1つ目は、子どもが自信をつけること。2つ目は、居場所を作ること。3つ目は、他者への敬意を抱かせること。なぜかというと、それが人間の幸せにつながるからです。例えば、塾生の母親に「お子さんにどうなってほしいですか」と質問すると、全員が「幸せになってほしい」と答えます。それには、この3つを満たすことが必要条件になります。

●9タイプ判定が手軽に試せる「人間は9タイプ 判定アプリ(36問版)」
http://apps.amwbooks.asciimw.jp/9t/pro/