ビジネスの情報はデジタルとアナログの両方が必要です。デジタルは各種経営指標のデータ、アナログは現場へ足を運び、五感を使って感じ取る情報のことです。私はカルビーにきてから、毎週日曜の午前中は現場の定点観測に充てています。自宅の近くにあるスーパー4店、コンビニ6軒を見てまわるのです。先述した医療機器販売会社にいた頃は、暇さえあれば病院の手術室に入り、医師が自社や競合他社の製品をどう使っているかを観察していました。

スーパーの売り場に立って、ポテトチップスの商品棚などを見ていると、さまざまなことに気づきます。たとえば、商品名はアルファベットより、片仮名や漢字のほうが目に飛び込んでくるのではないか、とかね。自分の五感を使って仮説を立て、それを数値で検証していくのが、アナログとデジタルの両刀づかいです。

資料づくりも数値データに偏りすぎるのではなくて、読む人の気持ちや感性に訴えるアナログの側面を大切にすると、説得力のある効果的な資料になるのです。

カルビー代表取締役会長兼CEO 松本 晃
1947年、京都市生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了。72年4月、伊藤忠商事入社。医療機器販売の子会社を経て、93年ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人へ。同社の社長、最高顧問を歴任。2008年カルビー社外取締役に就任後、09年6月より現職。
(伊田欣司=構成 本野克佳=撮影)
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