「プリウスはカローラになった」……米国でのエコカー規制のルール変更を受けて、今後、注目が集まるのがこの冬発売予定の「プリウスPHV」だ。トヨタのエコカー戦略はどう変わるのか、豊田社長に聞いた。

トヨタが袖ケ浦フォレストレースウェイで開催した、新型プリウスPHVの先行試乗会に、サプライズで現れたトヨタ自動車の豊田章男社長。前編に引き続き、豊田社長のインタビューを掲載する。後編のテーマは、この日の試乗会の主役である新型プリウスPHVと、トヨタのエコカー戦略についてだ。

グローバルのエコカー戦略はどうなる?

トヨタは現在グローバルなエコカー戦略として、ハイブリッドカー(HV)の「プリウス」、プラグインハイブリッドカー(PHV)の「プリウスPHV」、水素を使った燃料電池車の「MIRAI」というラインナップを揃えている。

トヨタはハイブリッドカーの「プリウス」のほかにも、プラグインハイブリッドカーの「プリウスPHV」、水素を使った燃料電池車の「MIRAI」というラインナップを揃えている。

今回先行試乗会が行われたプリウスPHVは、ハイブリッドカーと電気自動車のいいとこ取りをしたようなクルマだ。プリウスと同じように給油さえすればハイブリッドとして長距離走行が可能な一方、家庭用の100V/200V電源から充電でき、電池が切れるまではエンジンを使わない電気自動車として走れる。

プリウスPHVは、トヨタにとって重要なクルマなのではないか? という質問に対して、豊田社長はこう答えた。

「どれか1台だけを特別にプッシュしようとは思っていません。トヨタの全てのクルマに思い入れがなきゃ、おかしいじゃないですか?」

初代プリウスPHVは2012年発売で、今回の新型が2代目となる。車名別販売台数ランキングでトップの常連だったプリウスに比べると販売・生産台数は微々たるものだが、プリウスPHVこそトヨタがハイブリッドカーに次ぐスタンダードになると期待している次世代環境車なのだ。しかも米国でエコカーに関する規制が変更になり、特に北米市場ではプリウスPHVが売れてくれないと困ったことになる。その渦中でのこの答えを聞いて、少し意外に感じた。