小学校低学年虫歯率 足立区約26% 千代田区約11%

その後、時代が経つにつれ歯科医師も増え、カーブが下り坂にさしかかる1980年では5万3602人(19.5人)になりました。2014年では、10万3972人(64.0人)にまで増え過剰気味とすら言われています。

2015年現在の小学生の虫歯児率は25.0%と過去最低の水準にあります。虫歯の減少は医療体制の進展によるでしょう。虫歯の子どもは増えていると思われているかもしれませんが、現実はその反対です。

結構なことですが、気になるデータもあります。虫歯の子どもの率の地域差です。『東京都の学校保健統計』という資料から、子どもの虫歯率を都内の地域別に出すことができます。都内23区の公立小学校低学年(1・2年生)の虫歯児率を計算すると最高は足立区の25.8%、最低は千代田区の11.1%です(2015年度)。同じ大都市でも、この2つの区では虫歯の子どもの率に倍以上の開きがあります。

これは両端ですが、他の区はどうでしょう。図2は結果を地図で表したものです。大都市・東京の子どもの虫歯率マップをご覧ください。

濃い色は20%(5人に1人)を超える区ですが、東部が軒並みこの色で染まっています。対して都心部(千代田区・中央区・港区など)は真っ白。虫歯の子どもの多いゾーンと、少ないゾーンがこんなにはっきり分かれることに驚かされます。

子どもの虫歯率の地域差は単なる偶然ではなく、各区の社会的条件とリンクしている可能性がある。換言すると、虫歯の社会的要因のようなものがあるのではないか。それはズバリ貧困です。土地勘のある方は、図2の地図の模様を見てすぐにピンとくることでしょう。

悲しいかな、それは統計で残酷に「見える化」されてしまいます。