日本国内にLCC(格安航空会社)が就航してから4年が過ぎ、新たな局面を迎えている。今年5月には8社(※)のLCCが新たな航空連合「バリューアライアンス」を設立した。シンガポールのLCCであるスクートやタイガーエア、タイのノックエア、そして日本からもANAホールディングスが100%出資するバニラエアが名を連ねている。

連携の大きな目的は、会社間を超えた乗り継ぎチケットをワンストップで購入できるようにすること。これにより、フライトが遅延した場合でも無償で次の便が保証されるようになった。また、自社だけで拡大できないエリアへ向かう利用者の取り込みも可能とすることで利用者増加を目指す。フランチャイズ形式でネットワークを拡大しているエアアジアグループやジェットスターグループへの対抗する手段でもある。

例えば、成田~香港間はバニラエアで片道1万1000円程度、香港~シンガポール間はスクートで片道9000円程度(共にセール時以外の最安値)。片道2万円(空港税などの諸経費込み)でシンガポールに向かう途中に香港で美味しい飲茶を堪能できる。大手航空会社の直行便と比べても往復で1万~2万円程度安く、繁忙期ならさらに価格の差は拡大する。何より、今までLCCで成田からシンガポールへ向かう場合は、スクートで成田から台北を経由してシンガポールに向かう便しかなったが、バリューアライアンスの設立により選択肢が大幅に広がることになる。

LCCが就航してから新たに生まれたマーケットが日帰り需要。韓国、台湾、香港などはセール運賃で片道1万円以下になる。東京~名古屋間の新幹線往復(のぞみ指定席利用・2万2180円)よりも安く海外へ行ける時代になった。