先方から提示される金額は「疑え」

交通事故後の示談交渉。相手方の保険会社から「慰謝料ですが、○○様のために頑張りました。当社基準で満額を提示させていただきます」と言われても、ホッと胸をなでおろすのはまだ早い。

一般的に、保険会社が提示する慰謝料の金額は、裁判したときの賠償額の相場よりずっと低い。篠田恵里香弁護士は、実態を次のように明かす。

表を拡大
示談金の主な内訳

「たとえば骨折等のケガで3カ月、通院した場合の傷害慰謝料は、裁判所基準で73万円です。一方、保険会社が提示する慰謝料はその半額程度で、ひどいときには3分の1程度のことも。保険会社はそれが相場のようにうまく説明しますが、鵜呑みにしてはダメ。裁判所基準に近づけるように交渉したほうがいい」

休業損害も示談交渉で揉めやすいポイント。実はサラリーマンの休業損害の算定は簡単で、基本は事故前3カ月の給与または前年度の年収から日額を割り出し、休んだ日数をかけるだけ。厄介なのは、被害者が専業主婦だったり、失業中や自営業等で、収入算定が難しい場合。「収入がない」と、保険会社が休業損害を認めないケースも多い。

「家事も労働の1つ。ケガで家事に支障が出れば、当然、損害を請求できます。炊事や洗濯の対価は計算が難しいため、厚労省『賃金センサス』の女性労働者の平均給与額を使い、家事に支障が出た割合で計算します。失業中等、収入の算定が困難であっても、今後の就職の見込み等により、休業損害が認められるケースはありますので諦めないこと」

後遺障害の等級認定も、注意が必要だ。治療完了後も痛み等が残れば、自賠責保険で後遺障害の等級認定を受け、これをもとに逸失利益や慰謝料が支払われる。等級認定は、加害者側の保険会社が行う「事前認定」と、被害者側が行う「被害者請求」の2通り。楽なのは保険会社任せだが、保険会社はお金を支払う側であり、被害者側に有利に動いてくれるとは限らない。等級が1つ違えば、慰謝料の額も100万単位で変わりうる。