収入が低いわけじゃないのに、気付いたら毎月赤字家計。ボーナスを頼りにカード払いをしていたら、まさかのボーナスカット。老後に備えた貯蓄どころじゃない──。家計再生コンサルタントの横山光昭氏がそんな家計の改善プランを提案。

長尾家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:1250万円]
家族構成●夫(45歳・インテリアコーディネーター)、妻(46歳・システム開発会社勤務)、娘(9歳)
年収●夫:630万円、妻:618万円/手取り=夫:504万円、妻:494万円
ボーナス●(妻のみ)夏=49万円/冬=49万円 相談時の貯蓄額●180万円 

「そんなバカな!?」――長尾さん夫妻がそろって驚きの声を上げたのも無理はない。45歳の夫が65歳になるまで、どれくらい世帯収入・支出があり、どれくらい貯蓄が残るかというライフプラン・シミュレーションをしたら、“家計崩壊”の現実を突き付けられたのだから。

具体的には、こうだ。夫妻がいま考えているライフプランのまま生活していくと、6年後の夫51歳時には、マイナス約40万円の負債超過になり、20年後の65歳時には、それが約4000万円に膨れ上がるというのだ。

キーワードとして浮かび上がってきたのは「晩婚・晩産」そして「ひとりっ子」。

まず、長尾家のように30代前半で結婚し、30代半ばで出産するなどという話は、ごく普通にある。晩婚・晩産と呼ぶのはしのびない。だが、老後資金の「貯め期」と子供の「教育費」がかかる時期が重なってしまうことを考えると、ややタイミングが遅い。

20代後半までに子供を出産していれば、50歳ごろには子育てが終わり、家の中には必要なものも買いそろっていて、給料もそこそこ上がっているから、50代は老後資金を貯める時期としてフル活用できる。だが長尾さんの場合、娘が大学を卒業し独立するのは60歳目前のとき。しかも定年延長に伴い、収入が55歳からは今の8割程度、60歳からは今の6割程度にまでダウンする見込みという。

そうなると、今から老後資金を貯めていかねばならない。ところが長尾家の現状は、毎月2万円近い赤字家計。一時は500万円ほどあった貯金も200万円を切った。一方、世帯年収は1250万円ほど。本来、多少の浪費をしても毎月貯蓄にまわすお金ができていいはずだ。