企業の外交部門ともいえる、広報。多岐にわたるジャンルの相手と渡り合い、目の肥えた女性たちが考える「できるビジネスファッション」とは。

広報の業務は社内外への情報発信を担う。そのため、数多くの来客対応をするうちに、身だしなみが相手への印象に大きく影響すると身をもって理解している。そんな広報女性ならではの意見に耳を傾けてみよう。

まず、最も意識されていたのが「清潔感」。続いて「サイズ感」「シワの有無」がビジネススーツの着こなしの三大チェックポイントだった。この三拍子が揃えば、第一印象での信頼が得られると言っていい。

服装というのは、人としての常識や気配りが表れてくるもの。清潔感、シワといった部分は、自分を信頼してほしいと思えば当然気を付けるべきであるし、似合わないスーツを着ているということは自分がどういった人間かを自分で理解していないことになる。「サイズの合ったスーツを着ている人は、きちんと自分がわかっていると思う」という意見が多かったのも納得だ。

そして、爪やヘアスタイル、汗ケアなどのグルーミング面も重要。広報の女子たちは笑顔の奥で、手先など先端部分までチェックしている。

また、鞄や靴の扱い方にも人柄は出る。高級なものでなくてもいいが、物を長年、大切に扱っていることがわかると印象はアップする。男女に関係なく、装いも大事なビジネスの武器なのだ。

【1】日本生命保険相互会社 広報部 業務主任●有冨祥子さん

広報部の事務を中心に、ディスクロージャー誌の作製や取材対応を担っています。その前の営業の部署では、上下揃いのスーツを心がけていましたが、本社内勤務となってからニットやノーカラーなど多少動きやすいアイテムも増えました。

私は入社してすぐ、先輩に黒のパンツを「カジュアルすぎるのでプレスのあるパンツに」と指摘してもらいましたが、社内の状況は様々。そこで当社では、身だしなみチェックシートを作成し、私を含めたマナー委員を中心に服装の相互チェックを行っています。

男性は、スーツはOKでも、髪型がぼさっとしていたり、擦り切れた靴がエスカレーターの目線の先にあったときは少し残念だと思います。多忙の中でも、小さなお手入れが大事だと思います。

[入社年度]2007年
[身支度にかかる時間は?]30分
[スーツ、ジャケットなどの仕事着は何着持っていますか?]10着程度
[買い物スポット]銀座

【2】大和証券グループ本社 広報部 課長代理●木下美里さん

取材対応や問い合わせ中心の対外的な広報を担当しています。

弊社はお客様の大事な資産をお預かりする立場なので、その社員として身なりに配慮するガイドラインがあります。清潔感のある服装が推奨されていますね。部署にかかわらずお客様の前に立つときは必ずジャケット着用です。特にトレンドなどは求められておらず、あくまで信頼できる印象を残すための装いです。私自身は長く着まわしのききそうなプレーンなものが基本で、インナーでデザイン性を取り入れます。急な来客に備えてジャケットは丈の違うものを2着置いています。

男性は、下着が透けていたり、ネクタイの結び目が緩いなども気になりますが、姿勢よく胸を張って、サイズの合う服を着ているかどうかに尽きると思います。

[入社年度]2001年
[身支度にかかる時間は?]20分
[スーツ、ジャケットなどの仕事着は何着持っていますか?]5着
[買い物スポット]新宿
[よく行く店]百貨店、セレクトショップ中心(伊勢丹、ルミネ)

【3】KDDI 広報部報道グループ主任●荒 万里子さん

広報業務は会社全体の「営業」であると私は考えています。商品やサービス、社員の考えをお知らせする立場にあるので、商品を際立たせ、信頼していただけるよう、不快な印象を与えない服装が適切と考えています。スーツはダークカラーが中心です。

営業部を経験しているので、仕事への気合は自然と服装に出ると感じます。例えば男性がジャケットを脱いだとき、Yシャツの腕のラインにも完璧にプレスが入っていると、やる気に満ちていると見とれてしまいます。

私が心がけているのは「客観的に自分を見ること」。鏡の前に立つ習慣があれば、汚れにも気付けるようになり、清潔感が保てます。あとは、靴。恥ずかしくないものを身に着けていたいですね。

[入社年度]2007年
[身支度にかかる時間は?]30分
[スーツ、ジャケットなどの仕事着は何着持っていますか?]5~6着
[買い物スポット]新宿南口周辺
[よく行く店]ザラ