「暴力団も話せばわかる。同じ子どもを持つ親だから」

――暴力団と対話しているんですね?

暴力団をなくすためには、そういう人たちと向き合って話をしないと絶対なくならないと思うんですよ。相手も人間ですし、同じ子どもを持つ親として、きちんと話をすれば分かり合えると信じています。

――それも町議の仕事の一環なんですか?

議員である俺に対する相談でほかに多いのは、刑務所から出てきて、そのまま組織を抜けようといる人物が、「生活保護をもらえるようにしてほしい」とか、「公営の住宅に住めるようにしてほしい」とかいった類のものです。

その際、俺はこう応えます。事情はわかりました。でも、一度道を外したのは事実だから、(組織から足を洗い)皆と同じような生活にしたいなら、また社会に自分を認めてほしいなら、考えて行動しないといけない。一緒に考えましょう、と。俺の経営している会社(自動車販売業)で一時的に働いてもらったり、起業を支援したりして社会復帰を促しています。ふだんは、警察関連の方々と連携しながら、組織と対話をしています。俺はこれも政治の役割やと思ってるんですよ。

――暴力団は地域にとってどんな存在なのでしょうか?

昔は、(彼らが店舗などから)みかじめ料を取ったり、人に仕事を斡旋してやったり、といったこと横行していましたが、もはやそういうことが許される時代じゃないですし、(近年は警察などによる)締め付けがどんどん厳しくなりますから、弱体化は免れません。

――それは、町議としては歓迎できることですよね?

はい、一面では。でも、若い人たちのある意味の受け皿が暴力団でがなくなってきて、ギャングのようなものに移る傾向が出てきました。つまり、制御できない若者が増えているんですね。ほとんど無法地帯のような感じになってしまっている。

――暴力団のほうがむしろ対処しやすい?

俺は、そういう有り余った力を町のためとか人のために使う方法があるんじゃないかって思うんです。政治に興味を持ってもらったりとか、教育やスポーツに活かしたりするような感じで。自分の同級生たちとかは、見た目はみんな自分みたいな感じなんですが、母校の部活動のコーチに行かせたりしています。それが、恩返しになるんだよって。