今や、残業するほど仕事ができないと思われる時代。限られた時間で最大の成果を出すには──。経営トップ、心臓外科医、3つ星シェフ……斯界のプロにそのテクニックを聞いた。

社長の座より自己成長比率

目の前には山積みになった仕事。すべてに手をつけている時間はない。何を選び、何を捨てるべきか。著書『シンプルに考える』が大ヒット中の森川亮氏はまず、未来の成長につながるものを選ぶべきだという。

「同じ仕事をしていると、成長が鈍化します。未来の成長につながる投資価値が高いものに取り組むべきでしょう」

C Channel CEO 森川 亮氏

2015年3月までLINEの社長だった森川氏はあっさりとその座を捨て、C Channelというベンチャー企業を立ち上げた。同社が運営するのは若い女性向けの動画メディア。「クリッパー」と呼ばれる100人ほどの女性がiPhoneなどで動画を撮影・編集してアップする“動画ファッションマガジン”である。

動画メディアがホットになりつつあるアメリカの事情を見て、日本でも同様のサービスが広がると起業した。だが、LINEにいても動画サービスはできたはず。にもかかわらず、LINEを去った理由は、「新天地で起業するほうが、未来の自分は成長できると考えたから」。銀行預金より株に投資したほうがリスクは大きいが、リターンは期待できる。投資ノウハウさえあれば、平均的に高いリターンを得ることも可能だ。森川氏は、これまでの経験で十分な投資ノウハウを得ていた。

現在、「寝ているとき以外は仕事をしていたい」という森川氏。睡眠時間も、起業当初は3時間。仕事に影響が出るため、今は5時間寝ているというが、睡眠を削った貴重な時間だからこそ、余分なことは一切しないと決めている。

「趣味は全部やめました。週末にのんびりと読書をするとか、スポーツクラブに行くことも」

外部から頼まれる本業以外の仕事も極力断っている。だが、引き受けるものもある。その基準は「自分の思いに合うかどうか」だ。

「日本を元気にする仕事をしたい。そのことが起業するきっかけになりました。その思いに合うか合わないかで、受ける仕事を判断しています。お金は関係ありません」