名門イェール大学を卒業し、三井物産鉄鋼石部勤務の経験を持つ落語家・立川志の春さん。好感を持たれるスピーチのコツを落語調で語ってもらいました。

どうも、お初にお目にかかります。落語家の立川志の春と申します。先日プレジデントさんから「今度、話し方の特集があるので、取材をさせてくれないか」とご連絡をいただきましてね。ありがたいことですけど、どうしてビジネスとはかけ離れた落語家の私に取材を? とお聞きしましたところ……。

落語家 立川志の春氏
──志の春さん、あんた、クリントンやブッシュら元大統領の母校、名門イェール大学を卒業して三井物産に入社したにもかかわらず、飛び出して落語家になっちまった変わり者だそうじゃないか。

どうでもいいですけど、記者さんいつもそんなしゃべり方なんですか? それはさておき、はい、3年間大手町に通っておりました。でも、入社して2年が経った頃に落語に出合ってしまい、どうしても落語家になりたいという気持ちを抑えきれず、志の輔門下に入門いたしました。

──そこでだ、ビジネスの最前線の経験を活かして、落語のマクラこそビジネストークのお手本だとかなんとか、いい感じに誌面にしませんかと。

なるほどそういうことなんですね。まあ最前線にいたかどうかは別として、ビジネスと落語両方経験している人間はそれほど多くないでしょうから、及ばずながら落語家のテクニックをどうビジネストークに活かせるかについてお話しさせていただきます。

私たち落語家は高座に上がって、まずは「マクラ」という前振りのようなものから話し始めます。落語一席というのは、このマクラ、本編、そして下げ(オチ)という流れなのですが、基本、落語家は高座に上がるまで、何を話すか、演目を決めていません。

──ほほう、出たとこ勝負ってわけですか!

いや、臨機応変と言ってくださいよ。そのほうが考えてる感じがするでしょう? マクラというのは、リトマス紙のようなもので、自己紹介や、季節の話題、時事問題、定番の小噺などを振りながら、お客様の反応を見て、どんな演目が合うんだろうなということを考えたうえで、スパッと入っていくわけです。