人生何が起こるかわからない

この4月から順天堂大学附属順天堂医院の院長に就任しました。院長になったからといって、もちろん外科医をやめるわけではなく、院長職も100%、心臓外科手術も100%頑張りたいと考えています。4月は出席しなければならない会議や式典も多く、以前よりは少し手術を減らしている状態ですが、ゴールデンウィーク明けくらいには、徐々にほぼ元通りのペースで手術をする予定です。

順天堂大学病院副院長・心臓血管外科教授 天野 篤

病院としては、職員が働き甲斐を持てる職場環境を整え、患者さんの満足度も高められればと考えています。まずは患者さんの安心・安全を確保することですが、全体的なホスピタリティを高めて病院を居心地のいい場所にするとともに、アメニティも整えていければと思います。

心臓外科医になったときには、自分が、大学教授になったり、天皇陛下の手術の執刀医に選ばれたりするとは思っていませんでした。順天堂大の教授になったときにも、院長って大変だなあとは思うだけで、まさか自分が病院長の立場を担うとは考えてもみなかったですね。とにかく心臓病の患者さんを一人でも多く助けたい一心で走り続けてきましたが、人生何が起こるか分からないものです。ましてや、名誉職としての院長ではなく、医療安全、患者保護が重要視され、国際認証JCI(Joint Commission International)を取得し、大学病院も成長を求められる時期であるだけに気を引き締めています。

当院は厚生労働省の医療推進や規制を直接的に受ける特定機能病院です。高度な医療を提供する特定機能病院といえども基本は保険診療であって、保険診療をいかにうまく活用して病院の経営をして、患者さんに最適な医療を提供し、前向きな設備投資をするかは今までお世話になった国民皆保険による医療制度に対する恩返しです。一人前の心臓外科医になるために、両親、恩師などすでに他界した人も含めて多くの方々に支えられてきました。院長職は、今まで支えてくださった人への恩返しであり、今までとは違った社会貢献、患者貢献と位置付けています。