2016年2月9日(火)

ANAの利益につながる「おせっかい文化」

PRESIDENT 2015年3月16日号

岡村繁雄=構成 加々美義人=撮影
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運や偶然ではなく、長期間にわたって調子のいい会社がある。それはその会社が、社風や社内用語、暗黙知などの形で、その会社独特の仕事の仕組みという「共有資産」を持っているからではないだろうか。

2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロによる飛行機離れで、全日本空輸(ANA)も経営危機に立たされた。当時、CA(客室乗務員)だったANAビジネスソリューション専属講師の鈴木素子さんは、直後のフライトを鮮明に覚えている。

「クルーよりお客さまの数が少ないことに愕然としました。『会社はどうなってしまうんだろう……』と体が震えたのを覚えています。このピンチを乗り切るには、私たちに何ができるのか……。結論は、これまで以上のCS(顧客満足度)の向上でした」

ANAには、気づいたことがあれば、即伝えるという「おせっかい文化」がある。たとえば、機内で他のCAが客と上手にコミュニケーションしていれば「いま、何を話していたの?」と聞くのが“口ぐせ”になっている。よいことをさらに徹底すれば、サービスの質が高まる。そうすれば客足も戻ってくるはずだ。

CAと客の会話に際しても、同社では“マジックフレーズ”を活用している。シートベルト着用を促す場合にも「恐れ入りますが……」と一言添えることで、その場の雰囲気はとても和らぐ。

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「おしゃべり」が利益につながる仕組み

「これは仲間同士でも同じです。出発直前の物入れの確認に手間取っている後輩CAの行動に、『あれっ、大丈夫?』と感じたら、些細なことでも、その場で話し合います。そして原因がわかったら『ありがとう。これからは早めに確かめるといいよ』とつけ加えることで、素直に納得してくれます。それを積み重ねればES(従業員満足度)が高まり、CSにつながっていくのです」

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