介護離職者が介護を終えた後に迎える厳しい状況

日本ケアラー連盟代表の牧野史子さんは、多くのケアラー(親などの介護をする人)の相談を受けてきました。もらい泣きしてしまうような話をたくさん聞いてきたそうですが、なかでも聞いていて、つらくなるのが介護離職者の悩みだそうです。

「今は親の年金でなんとかやっていけるけど、介護が終わった(親を看取った)時点で無収入になってしまう。それが不安で仕方ないと切々と語るんです。介護に追われる日々も大変ですが、皮肉なことにそれから解放された途端、自分自身の生活が行き詰ってしまう。そうした絶望感を抱えながら介護をされている方が数多くおられます」

介護の形はさまざまです。

老夫婦が要介護になった伴侶の世話をする老老介護もある。子である兄弟姉妹で手分けして介護するケースや、奥さん(嫁)や子供(孫)に任せるケースもある。また、親ひとり子ひとりの単身者が介護をしているケースもあります。

介護を手分けしてできる人や誰かに任せられる人は、色々な軋轢はあるにせよ仕事を辞めずに済みますし、ある程度は自分の生活もキープできます。

厳しいのはひとりに介護の負担がのしかかる状況、老老介護や単身者の介護でしょう。ただ、老老介護の場合は介護が終わった後、自身も年金で生活はなんとか維持できますし、人生はもう上がっている状態なので行く末を気に病むこともあまりありません。

最も深刻なのは、やはり老親の介護をひとりの子が担わなければならない状況です。

いろいろな介護サービスに利用するにせよ、大半の世話をするのは自分ひとり。経済的に余裕があれば、親を説得して介護付き有料老人ホームなどに入所させることもできますが、それが可能なのは限られた人だけです。

結局、在宅で自分が主体となって介護をすることになる。前回、触れたように仕事と介護を両立させるのは困難であり、離職を選ばざるを得なくなるというわけです。