前回*は、46歳の女性(年収3000万円強)からの質問にご回答しました。

*「1億総下流」は嘘っぱち「富裕層」101万世帯! http://president.jp/articles/-/16690

リゾートホテルの会員権を購入したというこの女性の質問は、「旅行先や高級レストランなどの高い“人口密度”から考えて、一般に年収2000万円超の人は数%といわれる説は間違いで、もっといるのではないのか」というものでした。

これに対し、こう回答しました。

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純金融資産保有額の階層別にみた世帯数(2013)

国の統計によれば、年収2000万円超の人の割合は給与所得者の0.4%ですが、確定申告をする自営業などの中では4.4%。約28万人もいる。さらに、資産額で調べると、保有資産額が1億円以上の富裕層は約101万世帯以上、資産100万ドル以上は112.5万人もいる。

だから、高級リゾートなどに人出が多く、その人口密度に質問者さんも驚いたのかもしれません。今後、世の中は「1億総下流」になるとの予測本もありますが、持っている人は持っているのです。

なぜ、会員制リゾートに必ず「会議室」があるのか?

さて、今回は質問者さんの話に出てきたリゾートホテルの会員権について。それを持つメリット・デメリットとは何かをご説明したいと思います。

この読者の方はおそらく「箱根離宮」の会員権を買ったのではないでしょうか。

100平方メートル以上のスイートが使えて会員権の中古流通市場が確立しているのは、日本では「エクシブ」「離宮」「サンクチュアリ・ヴィラ」などを運営している、リゾートトラストのみです。

僕もここの会員で、毎月、山中湖や箱根などに行きます。

著者が会員権を保有しているホテルを運営するリゾートトラストのサイト。

会員権価格は大半が1000万円台~3000万円台と、給与所得者には手が届きにくい水準のため、自営業者をターゲットに販売されています(価格が低いグレードの物件は、給与所得者向け契約保養所として会社の健康保険組合などに開放)。

会員たちは、それがおばあさん同士であったとしても、その旦那同士が自営業の同業者だったり、おばあさん本人が自営業の役員だったり、貸ビル業のオーナーだったりして、個人の財布を開かずとも宿泊費その他は、事業収入・不動産収入から接待交際費などの経費で落とせることが多い。

おばあさん同士の情報交換の大部分が旦那の愚痴や、孫の自慢話だとしても、そこに取引先との有益な情報交換、新規顧客の紹介などが存在する限り、事業に関連しているからです。女性人が温泉でまったりしている間に、旦那同士がホテル併設のゴルフ場でプレーしても、もちろん接待交際費です。

そもそもリゾートホテルに会議室がついていることが多いのは、ある意味、アリバイ作り的な面があります。何を会議するんですかね。

僕の場合には、全国でホテルを経営していますので、他社のホテルの研究をするために宿泊するのは事業に密接に関連する経費といえます。

以上の話で、給与所得のみの人が将来的に「4つの財布」を目指すべき理由の一端が垣間見えると思います(これだけが理由ではありませんが)。