W杯で南アフリカを撃破した日本代表。「奇跡の勝利」5週間前、エディー・ジョーンズが選手に伝えたメッセージとは。

「個」を鍛え、超攻撃ラグビーに

ラグビー日本代表はイングランドで開催されたワールドカップで、過去2度の優勝を誇る強豪南アフリカを撃破。予選で3勝し、決勝トーナメント進出を逃したのは史上初。世界から敬意を込めて“最強の敗者”と称賛された。

エディー・ジョーンズ
1960年、オーストラリア出身。母は日系アメリカ人。夫人は日本人。大学卒業後、高校の教員を務めた後、オーストラリア、南アフリカ代表チームを指揮。12年から日本代表ヘッドコーチ。(AFLO=写真)

今大会、日本代表は屈強な外国チームをスクラムで押し込み、超攻撃的なプレーで攻め立てた。守備では敵チームの攻撃を弾丸のような低いタックルで倒し、ゴールラインを割らせない。その戦いはファンのみならず、数十年ぶりにまともにラグビーを見た中高年、あるいはラグビーを初めて見る若者までを熱くさせる“強さ”を持っていた。

今回の日本代表の活躍は、2012年より指揮をとるエディー・ジョーンズヘッドコーチの指導によってもたらされたことは報道されている通りだ。エディーは03年ワールドカップでオーストラリア代表監督として準優勝、07年ワールドカップで南アフリカ代表アドバイザーとしてチームを優勝に導いた名将だ。

12年にエディーがヘッドコーチに就任して以降、日本代表の強化方針は一変した。それまでの日本ラグビー界は、「日本は優れたテクニックと戦略で勝負する」という考えが支配的だった。しかしそれでは世界に勝てないことは、過去の戦績が証明していた。エディーは「個」を徹底的に鍛える方針に180度転換。以降、各所属チームから代表選手を集めて長期の合宿を頻繁に実施。朝6時から夕方遅くまで三部、あるいは夜の四部練習まで、ハードトレーニングで徹底的に鍛え抜く。3年半かけて世界に伍するパワーとスタミナを作った。

そうしてエディーが掲げる連続攻撃を基本とするJAPAN WAYを実現できるチームへと変貌を遂げた。