2015年11月5日(木)

“トランプ米国大統領”は、日本の敵なのか、味方なのか

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PRESIDENT 2015年11月16日号

時事通信フォト=写真
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トランプ大統領誕生で「強い米国」が復活

2016年11月の米大統領選に向けた共和党の指名争いで、支持率トップを維持する不動産王、ドナルド・トランプ氏の言動に安倍晋三政権が熱視線を送っている。オバマ政権が海洋進出や威圧的外交を進める中国に融和的なのとは対照的に、トランプ氏は「強い米国」の復活を提唱。「中国は米国民が飢え死にすることを望んでいる」と対中強硬姿勢を鮮明にしているからだ。数々の暴言には批判も多いトランプ氏だが、大統領選に勝利して世界最強の米軍最高司令官に就けば、アジアの安全保障環境にも影響をもたらすのは必至。さらに、トランプ氏は日本に対しても厳しい人物として知られている。トランプ大統領は日本の救世主となるのか、それとも破壊者となるのか。

“暴走”トランプ氏の発言の真意を、世界は測りかねている。(時事通信フォト=写真)

「私ならば夕食会は開かず、ハンバーガーを出す」。トランプ氏は、中国の習近平国家主席の訪米を「国賓」として厚遇するオバマ大統領をこう批判し、超大国となった中国に対しても一歩も引かない「強いリーダー」の姿をアピールした。オバマ大統領は9月下旬に訪米した習氏との米中首脳会談で、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に造成した人工島建設に関し「強い懸念」を伝えた。一方、習氏は「南シナ海は中国の領土だ」などとゼロ回答を繰り返し、議論は平行線のままだ。トランプ氏は、大統領選で対中政策が争点になっていることを踏まえ、覇権を拡大する中国に融和的なオバマ政権への対抗軸を打ち出すことに成功したといえる。

沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺で行動を活発化させる中国に手を焼く日本政府にとっては、あいまいな対中戦略に終始するオバマ政権より、強硬路線を打ち出す「トランプ政権」のほうが共同歩調をとりやすいパートナーであるのは間違いない。オバマ政権は主権に関して特定の立場をとらない言動を繰り返しており、トランプ氏による「強い米国」の復活は強力な援軍になる。この点は外務省幹部も「これまでの米大統領とは違う対応が期待できるかもしれない」と見る。

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