出国者数は1億人を突破。いま中国は空前の「海外旅行ブーム」だ。10月1日の「国慶節」から始まった大型連休には、約40万人が訪日したという。だが、「爆買い」のパターンは変わりつつある。中国通の筆者が探る最新事情とは――。

「近くに店員がいないとクレームになる」

福岡で訪日中国人の団体客を集めるドラッグストア「ドラッグオン」を訪ねた。店構えは一般的な郊外型のドラッグストアと変わりはない。ただ、駐車場に観光バスが並んでいることから、普通の店ではないとうかがい知れる。

店内に入ると、にぎわいぶりに圧倒される。5台のレジはフル稼働。かごいっぱいの商品を購入していく客も珍しくない。レジだけではなく、売り場にも多くの店員が立っている。同店の売り場面積は約600平方メートル。通常では6人程度で運営するが、同店では約60人体制で対応している。

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団体向けドラッグストア――店員数は通常店舗の約10倍。(1)「12の神薬」の特設棚。冷却剤「熱さまシート」、のど薬「龍角散」、消炎鎮痛剤「サロンパス」などが並ぶ。(2)ドラッグオンの外観。(3)来店客は店員に盛んに質問していた。

店員の数が多いのは、客が多いからだけではない。客からの問い合わせが多いのだ。「この薬にはどういう効果があるのか」「1回に何錠飲めばいいのか」。説明できる店員がいないとクレームになってしまうため、店内の至るところで中国語のやりとりが行われていた。

客がよく足を止めていたのは、「12の神薬」というPOPの貼られたコーナーだ。目薬やのど薬などに中国語の説明書きが付けられている。

ドラッグオンの馬衛鋼営業本部長は「一般的な店舗では2万点程度を取り揃えるところ、1600~2000点程度に商品を絞り込んでいる」と話す。

「まとめ買いをするお客様が多いので、在庫切れを防ぐために点数を絞り込み、同じ商品を大量に積んでいます。サイズもほとんどが1種類だけ。割高な小サイズよりも、単価が安くなる大サイズの人気が高いためです。売れ筋を外さないように上海に駐在しているスタッフが流行をチェックしています。また店頭では日本語表記の商品を並べるだけでなく、中国語のPOPでわかりやすく説明することも重要です」