今年7月、上海株式市場の急落で日経平均株価が一時、2万円を割り込んだ。安倍政権が発足して以来堅調に推移してきた株価だが、今後はどうなるか。

結論からいえば、多少の上下動はあるだろうが、長期的には2016年末までは上がると見ている。つまり、17年4月の消費税再増税の直近まで上昇は続くということだ。

理由は、大きく5つ挙げられる。

1つ目は、デフレ脱却の見通しがついたこと。日銀の量的緩和政策の効果が出ており、来年にはインフレ率が1%に乗る見込みだ。2つ目はコーポレートガバナンスの改革。投資家のリターンを意識した経営をする企業が着実に増えてきている。

3つ目は業績回復。弊社の予測でもコンセンサス(平均値)でも、東証1部上場企業の経常利益の増加が見込まれている。原油安、景気回復、円安という3つのドライバーが効いていて、今年も来年も最高益更新が続くだろう。

4つ目はバリュエーション(企業価値評価)に拡大余地があること。景気循環調整後PER(景気変動調整後の株価収益率)はまだ平均を少し超えたくらいで、上昇する余地がある。5つ目は需要。公的年金の運用と日銀が日本株を買い増している。

これらのことから勘案して、弊社では、16年末で2万2700円に達すると予測している。

リスクシナリオとしては、中国経済の失速がある。国有企業が抱える不良債権がデフォルトするような事態が起これば、日本株にも相応の影響が出るが、いまのところは政府当局が主導してなんとかソフトランディングさせるものと見ている。

分野でいえば、弊社が推奨するのは金融セクター。デフレ脱却の恩恵を最も受けられ、現状のバリュエーションも安い。よほどのことがない限り「買い」といえる。

(構成=衣谷 康)
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