「机の上を整理しなさい」――。

小学生時代から教師や親に言われ、職場でも上司に注意される。にもかかわらず、整理の習慣が身に付いていなかったりコツがわからなかったりする大人は少なくないだろう。例題にあるような雑然とした光景が常態化したビジネスパーソンも多いに違いない。間違い探しの要領で、デスクのカイゼンに挑戦していただきたい。

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▼例題にチャレンジ
Q. あなたは日々、デスクの整理ができないのが悩みです。見るに見かねた上司が、次のルールを守って片づけよ、とのアドバイスをくれました。下記ルールを参考にして、図の机を作業がしやすいスペースに変えてください。
・いま使うもの
 →いるもの
・いつか使うもの
 →期限を決める
 →期限を過ぎたら処分
・いらないもの
 =すぐに処分

製造現場で数多くの部品を扱うトヨタの場合、「片づけができていない」状態は、まさに命取りだ。仮に間違って部品をとりつければ、品質不良が発生し、クレームが殺到してしまうからである。そこでトヨタでは有名な「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を社内マナーや雑務のレベルではなく、最優先事項の「仕事」として習慣的に実践しているのである。

「片づけをしないと4つのムダが出ます」と人材育成支援会社OJTソリューションズ・大鹿辰己氏もきっぱり語る。

その1つめは「スペースのムダ」である。不必要なモノがあふれればオフィスや製造現場はそれらに侵食され、社員が空間を有効活用することができない。2つめは「時間のムダ」だ。モノが混在していると必要なモノを探し出すのに時間がかかる。大鹿氏によれば、仮に1日計30分間、探しものをしているとすると年間で約7200分(約15日分の勤務時間に相当)も時間を浪費していることになるという。3つめは前述した「間違えるムダ」。案件の異なる資料ファイルを会議に持参しても役には立たない。4つめは「取りに行くムダ」だ。例えば、コピー機を頻繁に利用するにもかかわらず、遠くに設置してあると、何度も行き来しなければならず移動する時間がかかってしまう。

「こうしたムダがなくなれば、自然と仕事の効率化をはかることができ、売り上げを伸ばすことができます」(大鹿氏)