受験サプリの収益源は、有料会員による料金支払い。とはいえ後述するように、無料会員の存在にはマーケティング上の重要な意味がある。

受験サプリは、受験生が4月から一般入試の時期まで利用しても、料金の総額はおよそ1万円。同じ条件で、標準的な予備校を利用すれば、50万円程度が必要となる。破壊的な低料金だが、これで本当に受験サプリは、まともな講義を提供できるのだろうか。受験サプリの松尾慎治編集長にお話をうかがった。

松尾氏によれば、受験サプリの低料金は、従来型の予備校とのコスト構造の違いを反映したもの。一流講師による本格的な講義動画を配信しても、採算が合うのだという。

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「50万円×1万人」と「1万円×50万人」は同じ

従来型の予備校の主要なコストは、建物や教室などの設備費、講師や事務職員の人件費、そして広告宣伝費。なかでも比重が大きいのが設備費と人件費で、この両者でコストの8割前後を占めると見られる。ところが、受験サプリでは、建物等に要する費用はほぼなくなるし、教室や校舎ごとに講師や職員を配置する必要もない。だから受験サプリは、大手予備校並みの大量広告を投下しながら、質の高い講義動画を低価格で配信できる。

このように受験サプリは、投資も費用も圧縮したビジネスモデルとなっており、私が見るところ、数万人規模の有料会員を獲得すれば利益は出る。気になるのは、少子化の進む受験市場において、この数万人という需要を獲得できるかである。