過去の自分へのダメ出しが子供に向かう

「教育」という名の「虐待」が人生を狂わせることがある。なぜ教育熱心な親が、子供を追いつめてしまうのか。その心理に迫る。

まずよくあるのが、親自身に学業に対するコンプレックスがあるケース。英語の苦手な人ほど子供に英語を学ばせたがるのと同じだ。自分には学歴がなくて苦労したという親は、子供になんとしても学歴を授けようとする。

また一見高学歴であっても、実は東京大学に行けずに慶應義塾大学に行ったなどという場合では、成功体験と屈辱体験の融合が、わが子への歪んだ期待となる。「子供には成功してほしい」という顕在的な願いの一方で、「子供にも屈辱経験を味あわせなければならない」という潜在的な欲求が渦巻く。だから、自分の成功体験に基づいてわが子を激しく鼓舞する一方で、わが子の努力や成長を認めてやることができず、「お前はまだまだダメだ」というメッセージを発し続ける。それは実は、過去の自分へのダメ出しである。

一方で、非のつけどころのないスーパーエリートの親が子供に過度な勉強を強いて、子供をつぶしてしまう悲劇もある。医師の親が息子をなじり、最終的には息子が親を撲殺してしまった事件などがその例だ。