揺るぎない国内トップの地位確保へ
国内生命保険最大手の日本生命保険が、なり振り構わぬ「攻めの経営」に転じている。生保業界の「ガリバー」に君臨し、泰然自若の姿勢が常だった日生の豹変ぶりには、同業他社も目を見張らせるほどだ。何が日生に起こったか。
そのきっかけを作ったのは、日生をライバル視しながら常に後塵を拝してきた同業第2位の第一生命保険だった。2015年3月期に、一般事業会社の売上高に当たる保険料収入で、第一生命は戦後初めて日生を抜き、首位に立つ歴史的な逆転劇を演じたからだ。同期に、第一生命は銀行での保険商品の窓口販売が伸び、保険料収入が前期を25%上回る5兆4327億円と大幅増収につなげた。
一方、日生は11%増の5兆3371億円と伸ばしたものの、第一生命に及ばなかった。首位を明け渡した日生が、この事態に危機感を持ったのは言うまでもない。本業のもうけを示す基礎利益こそ日生は6790億円と第一生命の4720億円を圧倒し、ガリバーの底力を見せつけた。
しかし、日生のプライドが大きく傷付けられたのは紛れもない事実だ。5月28日の決算発表記者会見で、日生の児島一裕取締役は「重く受け止めている。国内ナンバーワンにこだわる」と述べ、露骨なまでに第一生命への対抗心をむき出しにした。これを裏付けるように、日生は15~17年度の中期経営計画で国内外の保険会社の買収に1兆円超の資金を投じる方針を打ち出すなど、「揺るぎない国内トップの地位確保」に向けて、攻めの積極経営に大きく舵を切った。