2015年6月12日(金)

なぜ「口ぐせ」があなたの未来を決めるのか?

出世する人の口ぐせ、落ちこぼれの口ぐせ【1】

PRESIDENT Online スペシャル

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行方不明になった経営者の口ぐせ

やはり、口ぐせどおりになった。

2年前、正社員30人ほどのテレビ番組制作会社が経営破たんした。NHKや民放の情報番組などの制作を請け負っており、JR渋谷駅から10分ほど歩いたところのビルにオフィスを構えていた。

社長は、50代後半の男性。口ぐせは、中小零細企業の経営者に多いものだった。「(俺はお前に)言ったよな!?」「聞いていない? そんなことはない!」「同じことを言わせるんじゃない!」「誰に向かって、モノを言っているんだ!」……。

社員を決して褒めることなく、叱り、怒り、罵倒し続けた経営者の末路が、このあり様なのだ。社長は1980年代後半に、スチールのカメラマンなどを経て創業した。筆者は1995年から2000年近くまで、この会社を何度か取材したことがある。

当時、40代前半だった社長は機会あるごとに、20~30代の社員に当たり散らしていた。20代後半の男性の報告が遅れると、「お前は何様?」となじる。同じく、20代後半の男性が仕事の進め方をめぐり、意見を言う。すると、「何が言いたい!?」「早く辞めろ!」と詰め寄る。

その場にいた筆者も息苦しくなる。総務課にいた30代前半の女性を「仕事ができない」として、わずか半年で辞めさせた。退職した直後、女性と電話で話したことがあるが、困り果てて、泣いていた。

社長は一時期、ボクサーをしていたり、大手運送会社でドライバーをしていたという噂もあっただけに、部下をなじる姿にはすごみがあった。

社員の定着率は、悪かった。尊厳を踏みにじる言葉を浴びせられれば、辞めるのは無理もない。その都度、採用するが、また辞める。売り上げは3~5億円を推移し、10億円の壁の前で行き詰まっていた。

その当時から20年近く経った今、会社が入っていたオフィスには、ほかの会社が入る。部下をなじり続けた社長は、音信不通である。当時の社員らに聞いても、行方がわからないという。

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