2015年5月18日(月)

ドラマの『おしん』や漫画の『キャプテン翼』がイスラム世界で大ヒットした理由

90秒でズバッとわかる! ビジネスパーソンのためのイスラム世界入門【7】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
佐々木 良昭 ささき・よしあき
笹川平和財団特別研究員

佐々木 良昭1947年、岩手県生まれ。19歳でイスラム教に入信。拓殖大学卒業後、国立リビア大学神学部、埼玉大学大学院経済科学科を修了。トルクメニスタン・インターナショナル大学にて名誉博士号を授与。1970年の大阪万国博覧会ではアブダビ政府館の副館長を務めた。アラブ・データセンター・ベイルート駐在代表、アルカバス紙(クウェート)東京特派員、在日リビア大使館渉外担当、拓殖大学海外事情研究所教授を経て、2002年より東京財団シニアリサーチフェロー。2010年には笹川平和財団アドバイザー、2014年からは一般社団法人日本経済団体連合会21世紀政策研究所ビジティング・アナリストに就任。主な著書に『これから50年、世界はトルコを中心に回る』(プレジデント社)、『日本人が知らなかった イスラム教』(青春出版社)、『ジハードとテロリズム』(PHP研究所)、『革命と独裁のアラブ』(ダイヤモンド社)、『ハラールマーケット最前線』(実業之日本社)ほか多数。

執筆記事一覧

佐々木良昭=文
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カイロ大学日本語学科の教材は『男はつらいよ』

エジプト・カイロ大学の日本語学科と言えば、これまで数多くの日本研究者を輩出してきたアラブ地域における日本研究のメッカだ。

『面と向かっては聞きにくいイスラム教徒への99の大疑問』佐々木良昭著 プレジデント社刊

ここでは、教材の一つとして映画『男はつらいよ』を使用している。主人公・フーテンの寅の情の細やかさと、ファミリーの強い絆が共感をもって受け入れられているようだ。ただしこの映画は、一般には公開されてはいない。

テレビ番組でいえば、なんと言ってもNHKの朝の連続テレビ小説『おしん』が特筆されよう。最初に「おしんブーム」が起きたのはイラン・イラク戦争(1980~1988年)時のイランで、イラン国営放送で放映されると最高視聴率90%を記録した。

おそらくは、「オレたちは戦争で大変な思いを味わっている。しかし日本にもあんなしんどい思いをして、最後には幸せになった女性がいたのか!」ということで、共感を呼んだのだと考えられる。

同じくイランではアニメ『キャプテン翼』が大ヒット。バスターミナルや空港の国際線ターミナルのテレビでも放映され、大人から子供まで黒山の人だかりだった。

背景にはアラブ・中東圏のサッカー熱がある。とくにイラン、イラク、トルコ、サウジアラビア、カタール、エジプト、バハレーンなどではサッカーが盛ん。路上でもボールを蹴っている子供や青年の姿をよく目にする。そして、国の代表同士が戦う国際試合ともなれば、サポーターの間で流血騒ぎが起きるほど熱くなる。

イランに行って、『おしん』、『キャプテン翼』と言えば、今でも通用するはずだ。

書物では、アラブ圏ではエジプトのハサネイン・ヘイカルというベテランジャーナリストの作品が、よく知られている。

著者は元エジプトの情報大臣で、ナセル大統領のスピーチ原稿を書いていたという経歴の持ち主だ。彼のポリティカルな小説は幅広い層に読まれている。その多くは、政治的な不満に対して、最後にアラブ人の怒りが爆発するというストーリーだ。

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