短期間で大成功する人は私たちと何が違うのか。
努力量はほぼ一緒、学び方の小さなコツに秘密があった。

知識を実践に繋げる読書術

大和製作所社長 藤井 薫氏

私は毎月2回、大和麺学校で経営講義を行っている。この学校は、ラーメン、うどん、そばの専門店の開業をめざす人のために、2000年に開校したものだ。麺の打ち方、ダシの取り方などの技の指導はもとより、経営理論も伝授し、受講生を成功に導くことを目的としている。

しかしもともとは、私は川崎重工で飛行機や船舶の設計・製造に従事するエンジニアで、1975年、27歳のときに退職して独立した後も、当初は工業用ロボットの設計を手がけていた。麺に関わるビジネスを始めたのは、76年のこと。会社が讃岐うどんの本場である香川県だったこともあり、参入したのだが、最初は製麺機の製造・販売のみだった。

始めてみると、麺の機械は奥が深く、エンジニア時代とは違った勉強をまったくの一からやり直さなければいけなかった。しかし、「やる以上、この業界でトップになる。メーカーとしては最後発。一人でスタートした会社だが、いつか日本一、世界一になってやる!」と心に決めた。

とはいえ、機械設計のノウハウ以外には何もない。ビジネスのことは何も知らずに実業の世界に飛び込んでしまったのだ。そこでまず考えたことが、「本質は何か」ということだった。

製麺機ビジネスの本質、それは「安全で美味しい麺ができる製麺機をつくる」ということと定義した。では美味しい麺とは何か。私の得意とする科学的アプローチによって、うどんの麺の原料である、塩分、水分、小麦粉などを徹底的に分析した。それこそ寝食を忘れて一心不乱に研究に没頭した。「塩」「麺」といったテーマに関するキーワードがタイトルやサブタイトルにあるような本を20~30冊まとめて買ってきて、かたっぱしから読んだりもした。そうしていると、どれが正しくて、どれが間違っているか、大体見当がついてくる。そうして、これは熟読すべきだと思えば、自家薬篭中のものになるまで何度でも読んだ。それほどでもない本は、必要なところだけ拾い読みするだけにした。