給与を伸ばすには3つの方法がある。ひとつは自分が出世することだ。残りの2つは、会社が成長するか、厚遇の会社に移るか。必要なことは大局観をもったキャリアづくりだ。会社頼みでは、必ず行き詰まる。
山本一郎さんの回答
転職サイト経由で大量採用された人は会社と一緒に沈む
この数年、IT業界ではソーシャルゲーム事業で収益を稼ぐ企業が相次ぎました。しかし、これからの見通しは非常に暗い。いまは「食えるものは全部食った」という状態です。国内の遊技人口はこれ以上伸びません。大手企業は何とか海外に活路を見出そうとしましたが、いまだに芽が出ていません。
2年ほど前ならば、中身のあるタイトルに、しっかりと宣伝を加えれば、1000万円の月間売上高が見込める、という世界でした。ところがそういうサイクルが崩れて、一部のタイトルは何十億円も稼ぐ一方、そうではないタイトルは2カ月程度で営業停止になるなど、二極化が進んでいます。
儲かっているのは、本当に限られた特定の数社だけで、下請けを含めたそれ以外の企業にとっては、ゲームはそれほど儲からない、という状況に落ち着いてきました。これは「ニンテンドーDS」をめぐるビジネスの顛末に似ています。
最近、26歳でゲーム業界から転職を考えているという人から相談を受けました。開発マネージャーとして1200万円の年収を得ているが、経営が行き詰まり、自身の仕事がなくなった。リストラを迫られているわけではないが、転職を試みたところ、半分以下の年収500万円台のオファーしかもらえない。自分はもう評価されないのだろうか――。
このように業界の好調さにつられて収入が上がることはよくあります。そのとき、いまの収入が自分の実力だと突っ張ると、そのうち取り返しのつかないことになる。私は「いまの年齢で年収が1回下がるというのは、働き手としては、むしろ幸せなことですよ」と助言しました。
ゲーム事業を中心としたIT業界は、博打的な要素が強い。学歴や実力だけではなく、センスや運だけで上に行ける人も結構います。さらに収入は会社ごとに全然違う。その人がもっているスキルや実力だけで、業界をうまく渡っていくことは難しく、運の要素が大きいと思います。