2015年3月20日(金)

なぜ、人事部は内定者の親に「とらやの羊羹」を贈るのか

人事の目で読み解く企業ニュース【21】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

執筆記事一覧

溝上憲文=文
1
nextpage

母がエントリーシートを書く

近年の就活では親が積極的に関与するようになっている。それこそ中学・高校・大学受験の時と同じように企業説明会に親も出席することは珍しくない光景なのだという。

食品業の人事課長は3年前、関西の有名大学に呼ばれて企業説明会に出かけたとき、学生とは別に親が多数出席していたので驚いたという。

「最初は何で親が、と思ったが、子ども以上に熱心にメモを取りながら耳を傾けている。今では逆に会社のことをよく知ってもらう上でもよいことだと思うし、安心して働ける会社だということをアピールすることにもなると思っている」

さすがに企業主催の説明会に親を呼ぶことはないが、「説明会の参加募集の登録サイトに子どもに代わって親が申し込むこともあるようだ。母親に『申し込んでおいたから行ってきなさい』と言われて参加したという学生もいる」(人事課長)という。

▼就職してもらうには「オヤカク」必須

面接官「ウチに本当に入社する気ありますか?」 
学生「オヤカクさせてください」

母子一体となった積極的就活が広がることで新たな問題も発生している。ひとつは学生の判断だけで就職先を決められないことだ。ファイナンス会社の人事課長はこう語る。

「親離れしていない学生が多く、内定を出すけど、うちに入る気はあるの、聞くと『親に相談しないとわかりません』という学生もいる。そこまで言うかと思うが、内々定を出す以上、こちらとしても辞退してもらっては困る。しかたがないので内々定を出した学生たちに親も呼んでもいいということで食事会を開くことにした。親の承認を得れば、辞退する人も少なくなるのは間違いない」

PickUp