2015年2月5日(木)

なぜトヨタでは課長研修で「あなたの志」を問うのか

トヨタvsグーグル! なぜ社員がやる気に燃えるか?【4.伸びる環境】

PRESIDENT 2013年9月16日号

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

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ジャーナリスト 溝上憲文=文 ライヴ・アート=図版作成
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片や小集団型組織で終身雇用。片やフラット型組織で成果主義。どこまでも対極的なトヨタとグーグルだが、共通点が1つある。働く社員たちがみな、仕事への誇りを持っていることだ。

下位5~10%のバッドパフォーマーを切り捨て、優秀な人材と入れ替えて生産性向上を図るのが外資系流だが、入社後はクビを切ることなく、本人の能力を絞り出すように最大限引き出して会社に貢献させるのがトヨタ流だ。宮崎直樹元専務(現豊田合成副社長)も「いったん会社に入ったからには、この会社のなかでやりがいや生きがいを見つけてもらう。そのためには、とにかく粘り強く育てていくという考えが基本にあります」と指摘する。

トヨタの価値観を表す「トヨタウェイ」を発表した01年、当時の張富士夫社長(現名誉会長)はトヨタ社員に向けて、グローバルトヨタの「人材育成元年」を宣言した。グローバル競争に勝ち抜くために若手から幹部に至るまでの育成システムのプログラムも用意した。その1つが採用内定者へ入社までの半年間海外留学させる研修制度。技術系を中心に毎年10人程度をペンシルベニア大学へ派遣している。また、入社5年前後の若手社員が、海外で1年程度語学の研修をしながら現地法人で働く制度もある。

そして今は入社4年目から9年目の社員を対象に海外事業体や海外機関への派遣、国内関係会社への出向など、原則全員がいずれかを経験する取り組み「修行派遣プログラム」を始めている。

最大の目的は「全員がこのプログラムのいずれかに放り込まれて、苦労しながら視野を広げ、たくましさを身につける」(宮崎元専務)ことにある。

経営幹部人材育成の選抜型育成プログラムも00年からスタートさせている。次長職に相当する基幹職2級のエグゼクティブ・ディベロップメント・プログラム(EDP)の受講者は30人。その半分を海外の社員が占める。さらに、海外の課長職40人を対象にしたリーダーシップ・ディベロップメント・プログラム(LDP)、日本人の課長職を対象にした「立志塾」がある。

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