増税の影響で同業他社が苦戦するなか、同社の2015年3月期第2四半期の連結決算は、過去最高益。度重なる危機をどのように乗り越えたのか。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/14306)

上場間近、まさかの株式公開買い付け

12年5月、西武ホールディングス社長の後藤高志は、西武鉄道社長に伊豆箱根鉄道の社長だった若林久を、西武鉄道取締役上席執行役員の中村仁を伊豆箱根鉄道社長に就任させた。「こうした役員クラスの人事異動を図ることによって、社員たちにも西武グループは大きく変わったのだというメッセージを伝えたわけです」。

だが、時を同じくして、二人三脚で再建に取り組んできたサーベラスが西武HDに反旗を翻し、提携解消を要請、さらに敵対的なTOB(株式公開買い付け)に踏み切るという事態が起きる。

「かつて、西武鉄道が上場廃止になった。これから西武HDが上場するにあたっては、誰から見ても正々堂々と透明性を確保してやっていく、私はサーベラスに対しても一貫してそう言ってきたわけですが、残念ながらそこにコミュニケーションギャップがあった。両者の間で、一気に緊張感が高まったのは事実です。13年秋頃から、トップのファインバーグ氏と何回も電話会談などでコミュニケーションをとりました。最終的にはサーベラスは経営に口出しをしないし、これからも企業価値向上にしっかりとバックアップしていくと約束してくれた。そうした意味では、お互いの関係は良好になったと思います」(後藤)

“聖地”軽井沢の新たな変化

(上、下右)今夏オープンした貸別荘「ザ・プリンスヴィラ軽井沢」。春~秋はレンタサイクル、テニス、ゴルフも楽しめる。(下左)「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」は、ペットエリアも増床。トリミングショップもある。

東京から長野新幹線で約1時間、そこには西武鉄道グループの創業者である堤康次郎が、初めてリゾート開発事業を手がけた聖地、軽井沢がある。

ホテルを中心としたリゾート施設「プリンスグランドリゾート軽井沢」の一角にある巨大アウトレットモールが「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」だ。ゴルフ場を縮小し、1997年の長野新幹線の軽井沢駅開設に合わせ、駅前に開業した。その後、少しずつ増床を繰り返し、今夏には芝部分約1万平方メートルを増床して54店舗を増設、総店舗数は240店、日本でも最大級のリゾート型アウトレットモールとして生まれ変わった。