「10年前の不況のときは外資系企業や輸出企業が元気だったので、外国語を学べば就職できるという雰囲気がありました。しかしいまの不況は世界同時不況なので、外資系もダメ。また中国語のような新興国の言語も、向こうからの留学生がたくさんいるうえ、中国にも日本語学校がたくさんあり、中国語と日本語ができる人材はだぶついています。だから中国語をやったから就職できるとか、高収入が期待できるということはないのです」

資格だけで「食える」時代はもう終わった!

不況になると公務員人気が高まる。年齢制限はあるが、転職のため公務員試験を目指すのも一つの考え方だ。

「地方公務員の行政職はどこも難関ですが、別枠である警察官や消防官には不況でも必ず求人があります。また、首都圏の自治体では団塊世代の教員の大量退職がはじまっているので、少子化の進む地方よりは採用されやすいでしょう」と上田氏はいう。

将来有望な資格はないのだろうか。たとえば福祉分野。このところデイサービス施設への高齢者の送迎を行う「福祉自動車ドライバー」の求人が増えている。そういう名称の資格は存在しない。必要なのはホームヘルパー(2級)と第2種運転免許。関連資格として社会福祉士と精神保健福祉士がある。

「35歳以上の求人も少なくありません。地味ですが、やりがいはある仕事だと思います」(上田氏)

環境関連の仕事も拡大しそうだ。この分野には大気汚染や騒音を計測する環境計量士などの資格がある。

だが、いずれにしても「安全・確実で将来性もある」とまではいかない。野村、上田両氏が口をそろえるように「資格をとっただけで安心」という時代ではないのである。