2014年11月10日(月)

なぜ「できる人」より「好かれる人」が出世するのか

なぜ一流のリーダーは『孫子』を愛読するのか?【6】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
鈴木 博毅 すずき・ひろき
MPS Consulting代表

1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。日本的組織論の名著『失敗の本質』をわかりやすく現代ビジネスマン向けにエッセンス化した『「超」入門 失敗の本質』はベストセラーになる。そのほかの著書に『「超」入門 学問のすすめ』(ダイヤモンド社)、『ガンダムが教えてくれたこと』『シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術』(共に 日本実業出版社)など。

執筆記事一覧

鈴木博毅(MPS Consulting代表)=文
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能力が高いことより、嫌われないことが重要

『実践版 孫子の兵法』鈴木博毅著(プレジデント社)

最高峰の戦略書として世界に知られる孫子は、現代人にとって多くの名言を残した存在でもあります。「兵は拙速を重んじる」なども有名ですが、「はじめは処女のごとく」で始まる言葉も、私たちの教養的な知識といってよいでしょう。

この言葉は勿論、処女の演技を推奨するものではなく、相手の隙を作り上げる作戦の効果と重要性を指摘したものです。例えばダッシュするウサギのような突撃力を持っていても、相手があなたの攻撃を十二分に警戒し、守りを鉄壁のように固めていれば威力は半減してしまいます。逆に相手が無防備であるほど、あなたの攻撃の威力は倍増するのです。

「要するに、最初は処女のように振る舞って敵の油断を誘うことだ。そこを脱兎のごとき勢いで攻めたてれば、敵はどう頑張っても防ぎきることはできない」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳 プレジデント社より)

この言葉を考える時、ビジネスパーソンへの教訓として「純粋に能力が高いことより、嫌われないことのほうが重要」とよく言われる理由がわかります。何らかの学歴や肩書、能力を鼻にかけて相手に嫌われるような態度を取れば、結果としてこちらの提案や商品、メッセージを相手が受け入れなくなるからです。

別の視点で考えるなら「嫌われないこと」「好かれること」自体、ビジネスで効果を発揮する一つの才能ともいえるでしょう。相手が心を開いてくれるなら、あなたの提案はより心に響きやすくなるのは当然のことです。上司であれば、部下があなたの指示を素直に聞き入れて行動する人間関係を作り上げておくことです。それは時に、優れた指示能力以上に必要な行為といってよいでしょう。

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