2014年10月13日(月)

危険!なぜネットがあなたの好みを決めるのか?

サイバーリテラシー・プリンシプル(9)インターネットは新たなタコツボ化を促す

PRESIDENT Online スペシャル

著者
矢野 直明 やの・なおあき
サイバーリテラシー研究所代表

朝日新聞社で1988年にパソコン使いこなしガイド誌『ASAHIパソコン』、95年にインターネット情報誌『DOORS』を創刊、初代編集長をつとめる。2002年にサイバーリテラシー研究所を開設し、「サイバーリテラシー」という考えのもとに、現代IT社会における人間の生き方を模索してきた。この間、慶応義塾大学、明治大学、情報セキュリティ大学院大学、サイバー大学などで教壇に立つ。主著:『マス・メディアの時代はどのように終わるか』(洋泉社)、『インターネット術語集』(岩波新書)、『インターネット術語集II』(同)、『サイバーリテラシー概論』(知泉書館)、『総メディア社会とジャーナリズム』(同、2009年度大川出版賞受賞)、『情報文化論ノート』(同)、『IT社会事件簿』(ディスカヴァー21)。

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サイバーリテラシー研究所(代表 矢野直明)=文
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自分好みの情報に閉じ込められる

アマゾンのリコメンデーションは、この本を買った人はこういう本も買っています、と類書を推薦したり、ウエブ閲覧履歴や検索の入力キーワードなどからあなたの性向、好みを推測し、興味のありそうな本や商品を紹介してくれたりする。グーグルの検索サイトも、キーワードにそった事項を表示する順序に、あなたのオンライン上の情報活動が反映されている。便利といえば便利な機能だが、別の観点からすると、インターネットそのものが自分の好みや意見を反映したものに作り変えられている(再構成されている)ということである。

自分と同じような意見が集まり、対立する意見や、まるで違う考え方などは、たとえインターネット上にあっても、あなたからは「見えなく」なっていく。検索エンジンとかSNSなどのビッグデータ解析力が高まれば高まるほど、その傾向は強くなる。

かくして私たちは自分好みの一種のタコツボの中に閉じ込められる。当初、あらゆる考え方、情報があふれ、それを自由に選択できるすばらしいツールと捉えられていたインターネットの姿が、いつのまにか大きく“変貌”している。

人間関係もそうである。地理的、職業的、年齢的に限られた世界を離れた多彩な人びとと出会えるツールとして歓迎されたが、今やインターネットは仲間を固定化し、その絆を強めるようになってきた。だからSNSなどでは、家に帰っても学校友達のつながりから自由になれず、しかも四六時中その輪の中にいることが強制される。インターネット以前の「井の中の蛙」への回帰と言ってもいい。

サイバーリテラシー・プリンシプル(9)は「インターネットは新たなタコツボ化を促す」である。

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